埼玉新聞

 

「書く文化残したい」 さいたまの喫茶店「喫茶ゆうびん屋」 手紙ガチャに3千通 都内にあった「便箋喫茶」が閉店、オーナーの思い引き継ぎ移転オープン

  • 手紙も書ける喫茶店「喫茶ゆうびん屋」をオープンした谷川いろはさん=13日、さいたま市浦和区で

    手紙も書ける喫茶店「喫茶ゆうびん屋」をオープンした谷川いろはさん=13日、さいたま市浦和区

  • 手紙も書ける喫茶店「喫茶ゆうびん屋」をオープンした谷川いろはさん=13日、さいたま市浦和区で
  • 【地図】さいたま市浦和区(背景白)

 手紙を書く文化を残したい。そんな思いから始まった、手紙も書ける喫茶店が昨年11月、東京都内からさいたま市浦和区内に移転しリニューアルオープンした。その名も「喫茶ゆうびん屋」。この喫茶店では、見知らぬ誰かに宛てて手紙を書いたり、誰かが書いた手紙を読んだりすることができる。店主の谷川いろはさん(25)は「手紙を書くことが少ないいま、久しぶりに書くきっかけになれたらうれしい」と話す。

 谷川さんはもともと、手紙も書ける喫茶店としてにぎわっていた東京都世田谷区の「便箋喫茶」で店長を務めていた。昨年3月に便箋喫茶が閉店するに当たり、オーナーの思いを引き継ぎ、同じコンセプトで喫茶店を移転オープンすることを決めた。浦和を選んだのは、幼少期に住んでいて、なじみのある場所で始めたかったから。店名や内装も自ら考えた。

 喫茶ゆうびん屋の一角には、谷川さんが文房具のイベントなどで買い付けた、色とりどりの便箋が並ぶ。手紙セット(200円)を注文すると、好きな便箋3枚と封筒1枚を選び、店内の文房具やシールを自由に使うことができる。メルヘンで非日常感がありながらも落ち着ける空間づくりを目指した店内は、お茶を飲みながらゆっくり手紙を書くのにぴったりだ。

 そんな中で目を引くのが、便箋の棚の横にある「手紙ガチャ」と題されたガチャガチャ。300円を入れて回し、カプセルの中に入っている番号を伝えると、見知らぬ誰かが書いた手紙を持って来てくれる。手紙を読んだ人は、一度だけ返事を書くことができる仕組みになっている。

 便箋喫茶に寄せられた「手紙を書きたいけれど、書く相手がいない」「最近、手紙をもらっていない」という声をきっかけに、2023年7月に始まった。「手紙を書くとなると、どうしても意気込まないといけないと感じてしまう。手軽にできたらと、ガチャガチャにたどり着いた」(谷川さん)という。気軽に返せるように、返事も一度きりにした。

 これまでに3千人以上が手紙をしたため、約2500通はすでに読み手に渡っている。移転後に預かった手紙も約100通となり、谷川さんは「こんなに皆さんが手紙ガチャを目当てに来てくださるとは」と驚く。「前回返事が来てうれしかった」と何度も手紙を書いてくれたり、「久しぶりに人の文字を読んで、ほっこりした」と感想をくれたりする人もいる。

 幼少期から手紙に親しんできた谷川さんは、その魅力について「相手に合わせてレターセットを買ったり、文字を変えたり、その人にだけ使う時間が好き。字を見ると人柄など思い出すものがあり、定期的に読み返してしまうような手紙もあります」と語る。パソコンやスマートフォンが普及し、手紙を書く機会が減っている現代。谷川さんは「ふらっとお店に入った方が手紙を書くきっかけになれたら」と話している。

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