埼玉新聞

 

ロシアの侵攻、米ロで停戦協議…「ウクライナ抜きはあり得ない」ウクライナ出身の神職、上里から不安募らせる 戦争終結へ混迷する恐れも「終わりが見えなくなった」

  • 大麻(おおぬさ)を持っておはらいを行う権禰宜の梅林テチャナさん

    大麻(おおぬさ)を持っておはらいを行う権禰宜の梅林テチャナさん=上里町帯刀の菅原神社

  • 大麻(おおぬさ)を持っておはらいを行う権禰宜の梅林テチャナさん

 ロシアがウクライナに侵攻し、24日で3年を迎える。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は電話会談でロシアとウクライナの戦争終結に向けて交渉を始めることで合意し、米ロ高官も協議を行った。だが、ウクライナ出身で上里町帯刀にある菅原神社の権禰宜(ごんねぎ)の梅林テチャナさん(42)は「ウクライナ抜きでの協議はあり得ない」と憤る。平和を取り戻す日を願いながら不安を募らせている。

 テチャナさんはウクライナ西部にあるザカルパチア州出身。キーウ(キエフ)国立大学で日本語を専攻し、日本語を指導していた同神社宮司で夫の正樹さん(52)と知り合った。2009年に来日し、10年に結婚。日本で英語塾や貿易事務で働いていたが、正樹さんを少しでも手伝おうと神職の道へ。英語とウクライナ語の御朱印を頒布したり、参拝者にウクライナの国旗の色である青と黄色のリボンを結んでもらったりしている。

 家族はウクライナを離れているが、現在チェコに住む母親がウクライナの実家に最近帰省したところ、テチャナさんの知人が戦争に行って亡くなっていたことを聞いた。「私と同じ世代だったので本当にショックで、すごく悲しかった。まだまだ戦争は終わりそうにない」と肩を落とす。

 参拝者が神職と一緒に世界の平和を祈る朝拝(ちょうはい)神事を週に1、2回実施してきた。23年には一時、参拝者が誰もいない時もあったが、24年は必ず参拝者がいた。正樹さんは「かつてに比べればウクライナへの関心が薄くなった時もあったが、また関心が高くなってきている」

 県立深谷第一高校放送部が23年に梅林さん夫婦を取材した作品「スラーヴァ」を制作し、3月下旬に深谷市民文化会館小ホールで開催する同部作品上映会でも上映される。テチャナさんは「子どもたちがウクライナの戦争に関心を持ってくれたのはすごいこと」と感謝の言葉を口にする。

 バイデン前米政権はウクライナ抜きの和平交渉はあり得ないとの立場だったが、トランプ政権は大転換。ウクライナや欧州は米ロだけで交渉が進むことを拒否していて、混迷する恐れも。テチャナさんは「トランプ大統領によって終わりが見えなくなった。ウクライナの未来はウクライナが決めるべき」と強調する。

 ウクライナがロシアに奪われた領土を取り戻し、ロシアがウクライナに侵攻する前の状態に戻ることを願っている。「戦争を終わらせるためウクライナは譲る必要はなく、絶対に譲ってはいけないと思っている」と話していた。

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