医師死亡、心臓破裂で…母を亡くした息子発砲、無期懲役は「明らかに不当」 母の遺体に蘇生措置するよう求め、断られ銃撃したとされていた 法廷で弁護士「医師に弾が当たり、動揺し引き金を引いてしまった」
2025/02/28/14:26
ふじみ野市の住宅で2022年1月、医師=当時(44)=が散弾銃で射殺されるなど訪問していた医療関係者3人が死傷した立てこもり事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われ、一審のさいたま地裁で無期懲役の判決を受けた男(69)の控訴審初公判が27日、東京高裁(石井俊和裁判長)で開かれた。弁護側は一審と同じく、男の医師らに対する殺意を否認。検察側は控訴棄却を求めて即日結審した。判決公判は3月11日に開かれる予定。
弁護側は、当時男が医師の胸を狙って散弾銃を発射していなかったことや、医師に弾が当たった動揺でさらに引き金を引き、男性理学療法士に当たってしまったなどとし、殺人と殺人未遂は成立しないと主張。判決に事実誤認があるとして、「現判決の量刑は明らかに不当」とした。また、被告人質問などを求めたが退けられた。
一審さいたま地裁の裁判員裁判判決では、発砲の際に殺意があったことを認定した上で、「強固な殺意に基づく冷酷な犯行」として検察側の求刑通り無期懲役を言い渡していた。
判決によると、男は22年1月27日、前日に亡くなった男の母の在宅医療を行っていた医師らを自宅に呼び出し、蘇生措置を要求。医師が断ると、胸部に散弾銃を発砲して心臓破裂で死亡させた。また、同じ散弾銃で男性理学療法士の右側腹部を撃ち肝損傷などの重傷を負わせたほか、男性医療相談員の顔に催涙スプレーを発射して傷害を負わせ、路上にいた別の男性医療相談員に別の散弾銃を放ち、殺害しようとした。