<高校野球>大好きな野球、諦めたくない 1年夏に肉離れ、秋には腰痛、さらに肘の古傷も…選手から転向、浦和実のマネジャー兼学生コーチ 血まめだらけの手でチームを支る
2025/03/02/15:56
センバツに向け汗を流す浦和実の練習ではいつも選手やスタッフから「安藤!」の声が響く。白い練習着ではなく、ジャージー姿にサングラスが様になる一人の球児。マネジャー兼学生コーチの安藤瑞起さん(17)はノッカーなどを務めながらさまざまな仕事を任され忙しげに動き続けている。
「トップ選手になるために浦実に入った。誰よりもうまくなりたいと思っていた」。スタメン入りを志し同校へ進学したが、1年夏に左ももの肉離れ、秋には腰痛に悩まされ、2年に進級する頃には中学で痛めた左肘が悲鳴を上げた。ポジションは外野手だった。
けがの影響で1年の半分以上、別メニューでの練習参加を余儀なくされ、「半分、野球をやめようかなと思っていた。でも野球をやめたら何をしたらいいんだろうって」。
幼い頃からスポーツが大好きで、中学時代は新座リトルシニアでプレーする傍ら陸上部にも所属。2年時に走り高跳び、3年時には同種目に加え400メートルで県大会に出場した。50メートル走のタイムは甲子園メンバー入りした20人の誰よりも速い6秒1。何よりも、大好きな野球を諦めたくなかった。
現チーム発足時に選手から現職に転向。「選手の時よりバットを振っている。おまえのノックはつらいからもう打たないでと言われるくらいうまくなりたい」と血まめだらけの手でノックの練習に励み、プレーの悩みを動画で一緒に研究するなど選手に寄り添っている。
甲子園ではチームに帯同する。「勝てばすごくうれしいし、負けたら悔しい。心は選手の時と変わらない。全力で頑張るみんながやりやすいように気を配れる人間になりたい」。役割を変えても熱意は変わらず、チームの勝利を支え続ける。