【ぷらっとTOKYO】地域史を学び、釣りも満喫 杉並区の和田堀公園
東京都杉並区の中央部を流れる善福寺川両岸にある「和田堀公園」は、閑静で自然豊かな憩いの場として地域住民に親しまれている。JR中央線高円寺駅からバスに揺られ、公園を訪ねた。(共同通信=鈴木賢)
まず、地域の歴史や文化が学べる公園内の杉並区立郷土博物館へ。常設展示室では近隣の遺跡で発掘された石器や土器、古文書などを展示、解説している。旧石器時代から約3万年にわたって積み重ねられてきた人々の営みが実感できる。
浮世絵師葛飾北斎の高弟魚屋北渓が1821年に制作し、北斎の肖像画が含まれるとされる板絵(複製・同区の妙法寺所蔵)も公開。筆をくわえ、面長でいかめしい顔つきをした男性が、62歳当時の北斎と考えられるという。厳格さの中にもユーモラスな人柄がうかがえた。
博物館には江戸時代中期の一般的な農家を移築、再現した古民家もあり、屋内に入って見学することができる。「来館して、お気に入りのポイントを見つけて気軽に質問してください」と学芸員の伊東亜希子さん。
善福寺川の橋を渡り、木々の生い茂る公園を散策する。ジョギングコースとしても人気で、ランナーの姿が目立つ。散歩する老夫婦や木陰のベンチで談笑する若者たちの間にはゆっくりとした時間が流れている。
公園には釣りと食事が楽しめる「武蔵野園」が隣接している。貸しざおと餌を手にしていざ釣り堀へ。巨大なサメのオブジェが水面から飛び出している様子が面白い。
立て看板に書いてある「観察力、忍耐力、センス。これが大事です」とのアドバイスに従って、浮きの動きに全神経を傾けること約20分。浮きがぴくりと動いた直後にさおを上げると5センチほどの小魚が釣れて、かろうじて釣果ゼロは免れた。
経営者の青木大輔さんが「釣り堀には最大70センチのコイもいます。暖かくなると食いが良くなるのでまた挑戦してください」と励ましてくれた。
【メモ】杉並区立郷土博物館はJR高円寺駅からバスと徒歩で約20分。