【名作文学と音楽(32)】愛と幻想のチェンバロ音楽 小川洋子の『やさしい訴え』、須永朝彦の吸血鬼小説3作
2025/03/05/07:00
ディドロの小説『ラモーの甥』では<哲学者>にさんざん悪口を言われたフランスの大作曲家ラモーだが、昭和の日本に彼を熱愛する文士がいた。その人の名は坂口安吾。1931年に発表したエッセイ『現代仏蘭西音楽の話』の冒頭で、「ハナハダ偉大なアインシュタイン氏によれば、古典音楽はバッハ、モツアルト以外の全てを抹殺して差し支へないと言ふのです」と振っておいて、自分の考えではそこにラモーを加えなくてはならないと力説した。