我慢できない暑さ、9月まで続く見込み…電力逼迫、節電どうなる 女性「家のライト、つけっ放し反省」
東京電力管内で電力需給逼迫(ひっぱく)の注意報が発令され、節電が呼びかけられた。27日は関東地方の梅雨明けが宣言され、県内の最高気温は35度を超える猛暑日になり、市民からは「我慢できない」との声も。注意報は28日も継続。熱中症対策と節電を両立する“難しい夏”が始まった。
2018年7月23日に国内最高気温を5年ぶりに更新する41・1度を観測し、日本一の暑さで知られる熊谷市。梅雨明け前から暑さが続いており、24~27日の4日間連続で最高気温が35度以上の猛暑日となった。
「昔は昼間が暑くても夕方には涼しくなってきたけど、今は夕方も暑くて我慢できない。午後はクーラーを入れて、家にいるしかない」。市役所東側の中央公園の日陰で、2歳の孫と一緒に休憩していた60代女性はつぶやく。同じく公園で休んでいた80代男性も「家の中でも熱中症になるので、クーラーを入れないとやっていけない」と話す。
さいたま市は27日、ホームページやツイッターで、熱中症に注意しながらの節電協力を呼びかけた。庁内には使用しない照明やパソコンの電源を切るなどの節電を要請。エアコンは午後4時ごろから、室温を確認しながら送風に切り替えるという。市役所には、市民が行政手続きや参院選の期日前投票に訪れるため、市の担当者は「エアコンを止めるわけにいかないので、今回は対策が難しい」と話す。
熱中症対策の一時休息所として、県は「まちのクールオアシス」を推進している。さいたま市内では、公民館や図書館など125カ所が登録されている。浦和区の岸町公民館は、ロビーをクールオアシスとして開放し、エアコンを28度に設定している。ロビーに日が差している間は、照明を消して対応。マイボトル用の給水機を置いて、利用者に水分を取るよう呼びかけている。体育館にエアコンは未整備で、空いている講座室のエアコンを稼働させて、クールダウンの場所として用意。例年は7~9月に実施してきたが、連日の猛暑で前倒しした。
体育館ではこの日、浦和民踊連盟が練習していた。新型コロナウイルス対策でマスクをしながら体を動かすため、熱中症対策にも気を配っている。水分補給を心がけ、30分に1回、クールダウンの部屋で休憩している。会員の守富ひさえさん(79)は26日に電力需給逼迫の情報を知り、「家の明かりをつけっ放しにしていたので反省している。暑さで体調が悪くならないように、自分のいる部屋にだけ明かりをつけて、エアコンを28度に設定して過ごしている」と話していた。
県内の商業施設も対応に追われている。イオン(千葉市)は、イオンやイオンスタイルなど県内23店舗で節電対策を実施。6月下旬から、店舗内外の照明を間引いて点灯させたり、夜間には店舗外壁面看板のライトを消灯する「ライトダウンキャンペーン」を行っている。
その他にも店舗内の空調温度を普段より高い26~28度に設定したり、冷気を逃がさないよう営業時間外には冷凍オープンケースへのカバーかけを徹底して消費電力を抑えているという。
こうした取り組みは厳しい暑さが続く9月末まで継続する方針で、担当者は「昨今の電力逼迫を社会的問題と捉えて、できる協力は積極的にしたい」と話した。
気象庁によると、7~9月は厳しい暑さになると予測されている。