埼玉新聞

 

男性死亡…自宅に到着し、襲われる 女性トラブルで刺した男に懲役17年 無職の31歳、ずっと不合理な弁解をして反省なし 閉廷後に声を荒らげた男、裁判長に抗議「防犯カメラは見たか」

  • 現場の集合住宅で鑑識活動をする警察官ら=29日午後11時半ごろ、川口市朝日6丁目

    現場の集合住宅で鑑識活動をする警察官ら=2024年4月29日午後11時半ごろ、川口市朝日6丁目

  • 現場の集合住宅で鑑識活動をする警察官ら=29日午後11時半ごろ、川口市朝日6丁目
  • 【地図】川口市

 川口市内のマンションでベトナム国籍の男性を殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた、同国籍で住所不定、無職チュ・バン・ビエット被告(31)の裁判員裁判(佐伯恒治裁判長)の判決公判が13日、さいたま地裁で開かれた。佐伯裁判長はチュ被告に懲役17年(求刑・懲役18年)を言い渡した。

 判決理由で佐伯裁判長は、被告は被害者との間で女性を巡るトラブルがあったとし、何も持っていない被害者に対して殺傷能力の高い鋭利なナイフで胸部を突き刺した犯行を「正当化される余地など全くない、理不尽で身勝手な行動」と指摘。裁判では終始不合理な弁解をして反省の情はほとんど見られないとし、「刑事責任は非常に重い」と述べた。

 判決をうつむいて聞いていた被告は閉廷後、裁判長へ「防犯カメラは見たか」などと声を荒らげて抗議していた。

 判決などによると、チュ被告は昨年4月29日午後9時ごろ、川口市朝日6丁目のマンションにある階段の踊り場でナイフ2本を所持して、マンションに住むベトナム国籍の男性=当時(33)=の胸を殺意を持って突き刺して死亡させた。

■正当防衛を主張「身を守るために手を前に出したら刺さった」(以下、初公判時の記事)

 川口市内のマンションでベトナム国籍の男性を殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた同国籍で住所不定、無職の男(31)の裁判員裁判の初公判が3日、さいたま地裁(佐伯恒治裁判長)で開かれた。男は銃刀法違反罪などについては認めたものの、殺人罪については「自分を守るためで殺すつもりはなかった」と否認し、争う姿勢を示した。

 冒頭陳述で検察側は、男は被害男性との間でベトナム人女性との関係を巡りトラブルになり犯行に及んだと背景を説明。男は事件現場アパートの敷地内で被害男性と遭遇し、ナイフで切り付けた上で4階の踊り場で胸を突き刺したとした。

 一方弁護側は、男は被害男性と遭遇した際、身を守るために右手を前に突き出したところ被害男性の胸にナイフが刺さったとして正当防衛を主張し、殺人罪は成立しないとした。

 起訴状などによると、男は昨年4月29日午後9時ごろ、川口市朝日6丁目のマンションにある階段の踊り場でナイフ2本を所持して、このマンションに住むベトナム国籍の男性=当時(33)=の胸を殺意を持って突き刺し、死亡させたなどとされる。

■友人宅から来て殺害か「私は何も知らない」と否認(以下、殺人容疑で再逮捕時の記事)

 川口市内のマンションでベトナム国籍の男性が殺害された事件で、川口署特別捜査班は2024年5月21日、殺人の疑いで、同国籍の住居不定、無職の男(30)=入管難民法違反罪で起訴=を再逮捕した。

 再逮捕容疑は4月29日午後9時ごろ、川口市朝日6丁目地内のマンション4階の踊り場で、このマンションに住むベトナム国籍の土木作業員の男性(33)を刃物で刺すなどして殺害した疑い。「私は何も知らない」と容疑を否認しているという。

 県警によると、男は同日、さいたま市大宮区の友人宅から電車やバスを使って男性が住むマンションへ向かい、待ち伏せ。帰宅してきた男性を刺した後に、JR川口駅周辺でタクシーに乗り友人宅に戻ったという。男性の上半身には複数の刺切創があり、司法解剖の結果、死因は胸部刺創による失血だった。

 男は事件翌日の同30日、入管難民法違反(不法残留)の疑いで県警に逮捕され、その後起訴された。防犯カメラの精査から男が男性の殺害に関与したと特定した。男は2019年に技能実習生として入国。過去に三重県での居住実態が確認されており、県警は関係先の捜索差し押さえを実施したという。

 県警は関係者の話などから、男と男性の間に何らかのトラブルがあったとみて、詳しい経緯を調べている。
 

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