埼玉新聞

 

道路陥没、県の第三者委が初会合 土木工学の専門家ら現場を視察、夏に中間報告を予定…事故現場の特徴「空洞できやすい」 下水道の管理や更新、事故の未然防止へ「二度と起きないよう学ぶ」

  • 事故現場を視察する原因究明委員会の委員ら(県提供)

    事故現場を視察する原因究明委員会の委員ら(県提供)

  • 事故現場を視察する原因究明委員会の委員ら(県提供)

 今年1月に八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故を受け、県は14日、同市内で、再発防止に向けて専門家が事故原因を究明する委員会(委員長・藤野陽三城西大学長)の初会合を開いた。事故を引き起こした要因やメカニズムを究明するため、県や国などが関わらない第三者による委員会。検討、調査結果を踏まえ、今夏ごろをめどに中間報告書をまとめる予定。

 委員は藤野委員長をはじめ、大学教授や研究施設などに所属するトンネルや地盤、コンクリートなどの主に土木工学の専門家9人。会合は冒頭のみ報道陣に公開された。大野元裕知事はオンラインを通じて「将来における下水道の管理や更新、さらなる事故の未然防止に向けて、事故原因を徹底的に究明する必要がある」と述べた。

 委員は現場を視察し、それぞれの専門分野から事故が起こり得る原因について意見を出し合った。今後、復旧工事の進捗(しんちょく)を踏まえ、下水道管損傷部などの確認、分析、調査などを実施し、報告書をまとめる。

 委員会終了後、藤野委員長と二羽淳一郎副委員長(東京科学大名誉教授)が報道陣の取材に応じた。藤野委員長は、汚水に含まれる成分が硫酸になり下水管に損傷を与えた要因に触れ、「一番(の問題)はどういうモードで壊れ始めたか。あと2カ月ぐらいすると、現場でじかにいろいろなものを見ることができる」と述べた。二羽副委員長は「残っているセグメントを取り出して材料試験ができる。分析すればどれくらい損傷があったか分かる」と今後の調査について解説した。

 藤野委員長は事故現場の特徴について「地下水レベルが非常に高い。いつも水がある状態で、いろんな意味で空洞ができやすい」と指摘。一方で2021年に行われた陥没箇所の検査については、当時の記録から「点検に問題があったとは思っていない」とした。今夏ごろをめどに中間報告書を取りまとめる考えを示した上で、「陥没が大きく、人が巻き込まれた。このような事故が二度と起きないようにわれわれが学ぶ」と強調した。

ツイート シェア シェア