草加市役所近くに位置する趣のある古民家カフェ。今年で20年を迎える。オーナーの今井慶子さんは「0歳の子がもう二十歳になる。初デートや自分で稼いだお金で家族をもてなしたり、いろいろなお客さんが思い出をつくってくれている」と目を細める。

　草加で生まれ育ち、インテリアや内装の仕事からカフェを開こうと物件を探していた際、出合ったのが当時築60年の古民家だった。DIYという言葉はまだなかった頃、持ち前の技術とセンスで手作りのカフェギャラリーをオープンした。白い壁の店内は木の温もりに包まれ、落ち着いた雰囲気。地元の人気店として親しまれている。

　開店以来、不動の看板メニューとして人気を集めているのが「ほっとけーき」。上質な卵でふっくらしっとり厚焼きに仕上げた逸品。中でも「林檎クリームチーズのほっとけーき」（税込み980円）は、生地とリンゴ、クリームチーズが口の中でとろける。

　店名の「CONVERSION」には「流れを変えよう」との思いがある。今井さんは住民、地域、行政が取り組む「そうかリノベーションまちづくり」に参加し、街の活性化に奔走する。一方で変わらないものへの矜持（きょうじ）を持ち合わせる。「街は変わっても店は変わらない。素朴なほっとけーきの味を守っていきたい」と静かに語った。

【メモ】　cafe CONVERSION 草加市高砂1の10の3（電話048・928・0188）。営業時間は午前11時～午後7時（ラストオーダーは午後6時）。日曜定休。