おぼろげな影、思い出くっきり 等身大の「日光写真」 2メートルの布の上でポーズ 宮代で企画展
日光写真で人影を表現―。三郷市の写真作家、浅見俊哉さん(39)は28日まで、宮代町笠原のコミュニティセンター進修館で、企画展とワークショップ「ボディ・プリント・アクション 気配を繋(つな)ぐ」を開催している。2日には第1回目のワークショップ「ボディ・プリント」を実施。参加者は思い思いの格好で布に寝そべりポーズを取った。8分ほどで日光を受けた背景部が変色。人の姿が模様となって浮かび上がった。
日光写真は青写真とも呼ばれ、特殊な感光液を塗布した布や用紙を、日光に当てることで影の濃淡を浮かび上がらせる表現技法。浅見さんは日光写真の原理を用いて、等身大の人や思い出の品々などをモチーフに作品を制作。独自の表現活動に取り組んでいる。
デジタル技術の発展により、鮮明な写真を手軽に撮影できるようになった。浅見さんはこうした時代だからこそ、おぼろげな影が想像力をかき立てるアナログな日光写真にこだわる。「スマートフォンをタップするだけで簡単に写真が撮影することができる時代。光と影の差によって映像が生まれることを知ることは大切」との思いだ。
「ボディ・プリント」は高さ2メートルほどの布の上で、参加者がポーズをとり人影を映し出す。ポーズの意味や一緒に映す物に、人それぞれのエピソードが込められる。
今回の企画は、ユニークな建造物で知られる進修館を舞台に、等身大の作品約20点を展示。作品が館内に気配を生み出し、人と人のつながりを感じさせる仕掛けだ。
浅見さんは「有機的な建物の中にアナログな写真が入る。進修館ととてもマッチしている」と企画の意図に触れた。
都内に住む井手本美紀さんは出産を控え「普通のマタニティフォトではなく、面白い思い出を残したかった」とワークショップに参加した。完成した作品を見上げ「素敵な写真になり満足。無事に(赤ちゃんが)産めそう」と笑顔を見せた。
「ボディ・プリント」2回目のワークショップは9日午後1時から(参加費8千円)。午前10時からA4サイズの作品を制作するワークショップ(同500円)も開催している。
展示・企画の問い合わせは、進修館(電話0480・33・3846)へ。