埼玉新聞

 

関越道で通行止め、JRは運転見合わせ…埼玉の記録的大雨、川で越水 冠水の道路、車に取り残された妊婦が

  • 冠水した重郎橋。橋のフェンスなどには流木などが引っかかっている=鳩山町赤沼

 県内で12日夕から局地的な大雨が降った。気象庁は県内の記録的短時間大雨情報を約4時間で9回にわたり発表。住宅の浸水や土砂崩れが相次いだ。東松山市の九十九川や坂戸市の葛川、飯盛川で水があふれ、東松山市は約800世帯の約2千人を対象に、最高度の警戒レベル5に相当する避難情報「緊急安全確保」を出し、13日午前6時ごろに解除した。

 県によると、13日午後2時半までの被害状況は、東松山市、ときがわ、鳩山、嵐山町で土砂流出があったほか、1人が軽傷を負った。

 県内では12日夕から、県北西部を中心に雷を伴う大雨が降り、鳩山町では同日午後8時までの1時間に110ミリの猛烈な雨を観測。同町では13日午前6時までに、平年の7月1カ月分の倍以上に達する395ミリの降水量があった。

 県災害対策課によると、鳩山町で道路冠水のため車に取り残された妊婦1人が救出された。健康被害はなかったが病院に救急搬送したため、軽傷扱いとした。他にけが人はなかった。

 住家被害はときがわ町の2カ所5世帯で詳細を確認している。床上浸水は狭山、東松山、飯能、坂戸市で計13世帯が、越生、鳩山、滑川、毛呂山、ときがわ町で計33世帯が確認された。床下浸水は川越、東松山、狭山、所沢、日高、鶴ケ島、坂戸、さいたま、飯能市の計15世帯、嵐山、越生、鳩山、毛呂山、滑川、ときがわ町の計33世帯で報告があった。

 土砂災害、土砂流出は東松山市3カ所、ときがわ、鳩山、嵐山各町の計8カ所で発生した。12日午後10時35分、坂戸市東和田の葛川、坂戸市片柳などの飯盛川で川があふれる溢水(いっすい)が発生。同午後11時には東松山市田木の九十九川で越水が発生した。

 道路冠水はさいたま市など12市5町で発生し、関越道は東松山インターチェンジ(IC)入り口が冠水したことなどで東松山~鶴ケ島IC間が一時通行止めになった。鉄道はJR八高線が高麗川~小川町駅間で13日午前の運転を見合わせた。

 県教育局によると、東松山市やときがわ、鳩山町立小中学校の一部で授業を繰り下げ、県立鳩山高、岩槻北陵高も授業開始を繰り下げた。鳩山町の全小中学校では全校が給食後に下校した。

 毛呂山町の「県学校給食パン・米飯協同組合」毛呂山工場が浸水したため、川越市など16市町立学校で、米飯がない、おかずのみの給食を実施した。14日以降は別の工場で炊飯して提供する。

 大野元裕知事は13日午前、臨時に会見し「農業被害などこれから出てくるものもある。異常気象が繰り返し起こることを前提に、高いレベルの警戒態勢を続ける」と述べた。

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