埼玉新聞

 

熱中症対策、あの手この手 日本一暑いまち・熊谷 埼玉パナ選手らが対策伝授、体慣らす「ラグササイズ」も

  • 埼玉パナソニックワイルドナイツの内田啓介選手(右奥)から熱中症対策などについて学ぶラグビー部員たち=15日、埼玉県熊谷市立富士見中学校

 日本一暑いまちとして知られる熊谷市は、大塚製薬大宮支店や同市に本拠地を置く埼玉パナソニックワイルドナイツとの協働事業として、ラグビーを絡めた健康事業を行っている。熱中症対策アドバイザーの資格を持つ選手が中学生に熱中症対策授業を実施。暑さ対策事業でも、選手が体を暑さに慣れさせる暑熱順化に取り組む「熊谷ラグササイズ動画」を紹介している。

■喉が渇く前に

 15日夕方、熊谷市立富士見中学校。環境省後援の熱中症対策アドバイザーとなった埼玉パナソニックワイルドナイツの内田啓介選手(30)による熱中症対策・水分補給勉強会が行われた。ラグビー部員や保健委員計約45人が参加。大塚製薬の担当者から熱中症の症状や発生する要因、対策などが説明され、参加者は真剣な様子で聞いていた。

 内田選手は日頃から尿の色で脱水状態をチェックしたり、練習前後で体重を計測して体重が低下した分も水分を補給していることなどを紹介。経験談も交え、「喉が渇いてから水分補給しても遅く、パフォーマンスも低下させる。常に小まめな水分補給を心がけている」などと強調した。

 参加した同部長の滝田真心(まさむね)さん(14)は「水分補給の大切さが分かった。学んだことを生かして部活に取り組んでいきたい」と語った。勉強会は14日に市立荒川中学校でも行われ、生徒会本部役員や保健委員計約40人が参加。参加した保健委員会委員長の島田七菜さん(14)も「学んだ知識をほかの生徒にも伝えたい」と話した。

■市民へ健康啓発

 ラグビーを絡めた健康事業は市民への健康啓発と地域活性化を目指して6月から実施。内田選手をはじめ、日本代表の堀江翔太選手(36)や同市出身の山沢拓也選手(28)など、ワイルドナイツ選手を起用したのぼり旗とポスターを小中学校や市有施設に設置し、熱中症対策を啓発している。

 FMクマガヤの「インフォメーションくまがや」でも熱中症対策を放送予定。秋ごろには市民を対象に、ワイルドナイツ選手やスポーツ栄養士などを招き、セルフコンディショニングをテーマとしたシンポジウムも予定している。

■暑さに慣れる

 熊谷ラグササイズ動画は元ラグビー日本代表兼元ワイルドナイツ選手で、NPO法人ワイルドナイツスポーツプロモーション理事長の三宅敬氏(42)が考案。ラグビーの動きを取り入れたエクササイズを紹介し、ワイルドナイツの床田裕亮選手(27)がFW(フォワード)編、竹山晃暉選手(25)がBK(バックス)編に出演している。

 動画は約10分間で、動画投稿サイト「ユーチューブ」の市公式チャンネルで配信。動画の視聴者が一緒にトレーニングできるようトレーニングの間に休憩時間を挟むなど、継続して取り組みやすい工夫をしている。視聴者が動画に挑戦した様子が交流サイト(SNS)で紹介されており、市ラグビータウン推進課の担当者は「熱中症にならない体づくりをしてもらえれば」と話していた。

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