【東京ウオッチ】ファッションの“未来”を見つめ世界へ発信―デザイナー滝沢直己さん、代官山でブランド新展開 いまのTokyoをつかむイベント情報(29日~4月8日)
◎今週の一推しイベント
【29日(土)】
▽「デザイナー滝沢直己さんが店舗リニューアル」(通年営業、渋谷区)
国内外で活躍するファッションデザイナー滝沢直己さんが、自身のブランド「NAOKI TAKIZAWA」を展開する代官山ヒルサイドテラス内の店舗をリニューアルオープンした。20周年を迎え、新たなコレクションを掲げての再スタートとなる。
「ISSEY MIYAKE」のクリエーティブディレクターを長く務めた。2008年春夏ニューヨークコレクションでデビュー後、「ユニクロ」「無印良品」など企業のファッション部門ディレクターとしての活動を強化するため、シーズンごとの発表をいったん中断していた。
久しぶりの新作発表について「イッセイ在籍時にデザインした服を知る国内外の関係者から、僕自身のブランドの服をまた作ってほしいとの声をたくさんもらった。自分の存在をもう一度前面に出す時期が来たと思った」と説明する。
新店舗内にはスエット素材で作られた25年春夏コレクションを展示。グレーやピンクなどやさしい色合いのワンピースやパンツ、上着は繊細で美しいドレープや立体感が目を引く。「美しいフォルムはイッセイ、人に寄り添う姿勢はユニクロ、日常のための服作りの力は無印と、これまでに得た全ての経験を表現している」
和歌山の会社が丸編みで手がけたスエットには、海外素材にない独特の肌触りと軽さがある。和紙のような風合いのスエットワンピースや、ナノテクノロジーによるニット素材のスポーツウエアも展開。「日本の伝統とハイテク双方の優れた技術で生み出されたファッションを、世界に発信することが大切だ」と語る。
中国などのファッション界との交流も深い。「アジアの若いデザイナーたちには、型にはまらない発想があり、常に未来を見つめていた三宅一生さんから受け継いだ精神を共有できる。刺激を与え合い、人がわくわくするような衣服を創造していきたい」
○そのほかのお薦めイベント
【29日(土)】
▽「ラーメンどんぶり展」(~6月15日、港区・21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2)
日本人の国民食ともいえるラーメンのおいしさを引き立てる器に注目し、そのデザインを通して日常に潜む意外な驚きを発見する展覧会が、六本木で開催されている。ディレクターに、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんとライターの橋本麻里さんを迎えた。
会場に設けたラーメン店のカウンターには、画家ヒグチユウコさん、プロダクトデザイナーの深澤直人さん、歌手LiSAさんら著名なアーティストたちがデザインした個性豊かな40点のどんぶりとれんげが並ぶ。作り手自身によるユニークな解説も掲示。
グラフィックデザイナーの田名網敬一さんは、店にいたクモが汁の中に沈んでしまった若い頃の苦い思い出をサイケデリックな色調で描いた。美術家の横尾忠則さんによる色とりどりの小さな骸骨の絵の器には「とんこつラーメンでしっかりした骨をつくろう」とコメントが付く。
店にあるような赤い椅子に座って作品一つ一つを鑑賞でき、ラーメンどんぶりに発揮された自由奔放な精神を感じ取れる。佐藤さんは「器が一つのカンバスになった。“間口が広く奥の深い”ラーメン文化の多様性を感じてもらえるはず」と言う。
ラーメンどんぶりの90パーセントは美濃焼だ。「美濃の土が持つデザインの素晴らしさも伝えたかった。口から入るラーメンと足で踏みしめる土の関係性を感じ、世界とつながる自分自身を発見してほしい」
▽「ディオール アディクト ファクトリー」(~4月16日、東京ミッドタウン 芝生広場、入場無料)
ディオールのリップスティックが生まれる舞台裏を紹介するイベントが、六本木で開かれている。
会場には機器やピグメント(水に溶けない色素)が並ぶプロダクションラインを設置、リップの製造プロセスを見学できる。写真・動画撮影も可能。見学後は、予約制でプロのアーティストによるメーキャップ体験も受けられる。特別メニューを用意した来場者限定のカフェも。コスメの専門的知識を楽しく得られる機会となるだろう。
▽「ジョエル・ロブションのポワソン ダブリル フレーズ~苺のパイ~」(~4月1日、目黒区、港区など)
エープリルフールにちなんだ魚形のパイが、「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション」恵比寿ガーデンプレイス店など、都内全店で販売されている。
フランスでは、エープリルフールを「4月の魚」と呼び、魚をモチーフにしたパイやケーキを食べる。その伝統的な習慣にならい、魚の形のパイに旬のイチゴや甘酸っぱいフランボワーズを飾りつけたスイーツを提供。自宅に持ち帰り、フランス流のいたずら心を家族で分け合いたい。
【4月8日(火)】
▽「柄本弾と過ごす夜―ソワレ・ア・“ラ・セヌ”」(18時30分、千代田区・メルキュール東京日比谷、事前予約制)
東京バレエ団のプリンシパルダンサー柄本弾さんを招いたイベントが、日比谷で開催される。
芸術選奨文部科学大臣賞を3月に受賞した柄本さんによるトークやショートパフォーマンスを、ホテル内のレストラン・カフェ&バー「ラ・セヌ」で限定のコース料理と共に楽しめる。