昨年6月、さいたま市大宮区のインターネットカフェ店の個室で20代女性従業員を人質にして立てこもり、けがをさせたなどとして、逮捕監禁致傷などの罪に問われた、住居不定無職林一貴被告（41）の判決公判が20日、さいたま地裁（佐々木一夫裁判長）で開かれ、佐々木裁判長は求刑通り、懲役20年を言い渡した。

　判決理由で佐々木裁判長は、「被害女性を被告人に殺されるかもしれないという極度の恐怖と絶望感に長時間にわたってさらした極めて悪質な犯行」と指摘した。

　判決によると、林被告は昨年6月17日、さいたま市大宮区のインターネットカフェ店に来店。「テレビがつかないから、ちょっと見てもらってもいいですか」などとうそを言って女性従業員を個室内に誘い入れ、同午後2時23分ごろから約32時間にわたり監禁するなどし、首や顔などに2週間のけがを負わせた。

■被告、終始落ち着きなく

　林被告はこの日、上下濃い紺色のジャージー姿で出廷。判決文の読み上げでは、椅子に深く座り、背もたれに寄りかかった状態で脚と腕を組んでいた。うつむいたり、検察側を見たりするなど、終始落ち着かない様子で判決文の読み上げを聞いていた。

　初公判から、落ち着かない様子だった林被告。証拠調べで、警察と林被告によるインターホン越しに行われた、60回のやりとりについて検察側が説明している際、「ふざけんな、この野郎」などと声を荒らげる場面もあった。

　証人尋問、被告人質問、論告求刑公判でも傍聴席をしきりに見渡したり、腕を組んでいたりと、一貫して落ち着きはなかった。一方で自身が証言台に立つ際は、はっきりとした口調で話していた。「検察官には言いたくない」などの発言もあったが、受け答えにはしっかりとした対応をしていた。

　判決に対し、どこか納得のいかない様子にも見受けられた林被告。閉廷後は刑務官の指示に従い、淡々と法廷を後にした。