全国でも珍しい!大宮に自治会運営の学童保育 素人のおせっかいでいい、子どもと大人の交流が出来たら…地域への愛着を高める狙いも
「ただいま!」「来たよー」。元気な声で飛び込んでくる子どもたち。ここは東武アーバンパークライン大宮公園駅前の「寿一放課後子ども教室」。全国でも珍しい自治会運営の学童保育。さいたま市大宮区の寿能町一丁目町会(自治会)が、昨年10月に始めた。平日の夕方、自治会の集会所で実施している。対象は小学生でその妹や弟も受け入れ、中学生はボランティア参加。常時5人程の子どもたちが放課後の2時間、大人たちと共に、読書やゲームなど思い思いに過ごしている。
■学校や子と関わりを
取り組みを提案したのは同町会で児童青少年部を担当する新屋剛さん(54)。新屋さんは、小中学校のPTA役員時代、「これ大丈夫かな」と思うような状況を目にした。
例えば、出入り口に目張りがされ、20分の休みに児童が誰も出てこない教室があったり、不登校の生徒への対応の仕方に問題があったり。そのため「親や地域の人がもっと子どもや学校に関わるべきでは」と感じていた。
同町会には長年「子ども会」がなく、同部が学区内の市立大宮東小学校のPTA役員らと協力し、夏祭りや芋掘りなどの活動を続けてきた。まちの活性化の視点からも試行錯誤を繰り返す。
■地域の「子」は地域で
参考にしたのは、子育て世代と高齢者をマッチングする地域住民参加型の取り組みを行う岡山県奈義町。2019年の合計特殊出生率が2・95で、「奇跡のまち」とも呼ばれる人口5700人の町だ。
「奈義町のように地域の子どもを地域で育てよう」との思いがある。学校単位の学童保育との違いは、地域の子どもと大人の交流を目的にしている点。交流を図り地域への愛着を高めることも狙う。「子ども教室」には、保護者や高齢者など、誰でも参加でき、不登校の子どもも歓迎する。
ボランティアで通う船競昭子さん(77)は「最初は不安だったが、案ずるより産むが易(やす)しで、子どもたちと仲良くなれた」と語る。週3回は利用する同小4年の植田亜実さん(10)は「勉強もできるし、遊べるし、とても楽しい」と話す。
「素人のおせっかいおじさんやおばさんでいいと思う。暗い顔している子どもがいたら気付いてあげられる。そして子どもからも相談してもらえる。そんな大人と子どもの関係がこの地域でできたら」と新屋さんは期待する。
子ども教室は火~金曜日の午後4時~同6時まで。参加無料。問い合わせは、新屋さん(電話090・5498・4865)へ。