いじめ受けて長期間不登校に 埼玉・久喜市教委が調査報告書を公表 学校の対応が被害者と加害者の関係を悪化させたと指摘 保護者「もっと早く解決してもらいたかった」
2025/03/29/12:06
久喜市教育委員会は28日、市立小学校の元児童(13)が同級生からいじめを受けて長期間不登校になった、いじめ重大事態の調査結果報告書をホームページで公表した。少人数学級の閉鎖的な人間関係を背景に、学校の対応が被害者と加害者の関係を悪化させたと指摘している。
報告書などによると、被害児童は5年生だった2022年11月~23年2月ごろ、複数の同級生から一緒に遊んでいたゲームのフレンド登録を解除されたり、触った物を消毒されるといったいじめを受け、昨年3月の卒業までの約1年間のうち計111日間、不登校になった。現在は市外の私立中学校に進学している。
23年2月、被害児童の異変を察知した保護者が学校に連絡し、学校の介入で複数の加害児童とその保護者が謝罪。しかし、被害児童は精神的に不安定になるなど状況は改善されなかった。昨年1月、被害児童の保護者からの申し立てを受けた市教委は、不登校が長期間に及ぶことなどから重大事態と認定。同3月に学校や市教委のメンバーで構成する調査委員会を設置した。
報告書は「少人数学級という閉鎖的で距離感が近すぎる人間関係を背景に、学級のモラルや教員の指導力の低下の中で本質的な解決に至らなかった」と指摘。いじめ認知後の対応についても「学校が被害者と加害者それぞれの要求を受け入れた結果、それぞれに不満を抱かせ対立構造を生んだ」とした。
被害児童の保護者は埼玉新聞の取材に「調査委員会が立ち上がったのは卒業直前。相談をしてから1年以上かかった。子どもは今も人間関係に不安を抱き、心の傷は深い。もっと早く対応し、解決してもらいたかった」と話した。