埼玉新聞

 

<新型コロナ>医療機関「逼迫」52%超に 埼玉県、スマホ診療を開始も利用希望者が殺到、拡充を視野

  • 県の医療提供体制について会見で説明する大野元裕知事=26日午後、県庁

 県内では新型コロナウイルスの「第7波」に伴い、21~23日まで1万人以上の新型コロナウイルス新規感染者が確認され、23日には最多となる1万2424人を更新した。確保病床の使用率は25日時点で6割を超えるなど医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつある。大野元裕知事は26日の定例会見で「死者は少数にとどまっているものの、深刻な状況が継続している」との見解を示し、医療機関にさらなる病床確保などを求めていく考えだ。

 県は25日、病床確保計画を「フェーズ2」から「フェーズ4」に引き上げ、病床数は940床から1508床に段階的に引き上げた。ただ、クラスター(感染者集団)が生じている医療機関を含め、同日時点で1140人の感染者が入院。県は余力のある医療機関にさらなる病床を確保するよう要望した。

 26日の県の発表では、4カ所の医療機関で新たに感染者が確認され、クラスターとなっている。大野知事は「専門家会議ではスタッフのやりくりができない医療機関もあるとの意見が出た」と説明。「憂慮している」と強調し、医療従事者らへのワクチン接種を引き続き進めるとした。

 約1500ある県の診療・検査医療機関にも、発熱などの症状があり検査を求める人が殺到している。同診療・検査医療機関に対するアンケートでは、コロナ疑いの外来患者への診療や検査の状況が逼迫していると回答した割合が7月第1週は8・6%、第2週は27・3%だったが、第3週には52・8%に上った。

 県は20日から症状のある人に無料で抗原検査キットの配布を開始。25日までの5日間で1万719人に配布し、230人が陽性との結果が県に報告されたという。

 また、キットで陽性でも診療・検査医療機関の逼迫により確定診断を受けられない人のため、25日からスマートフォンでのオンライン診療を始めた。全国の医療機関からなる「ファストドクター」と診療・検査医療機関14カ所で受け付けている。ただ県感染症対策課は「大変混み合っている」と、利用希望者が殺到している現状を説明。今後、さらに多くの医療機関に協力を呼びかけていくとした。

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