埼玉新聞

 

<新型コロナ>救急隊、恐れた言葉「私用。サボり」…コンビニ我慢してトイレ食事できず 今後は利用へ

  • コンビニ利用の掲示を見せる救急救命士ら=12日、県庁

 熱中症やコロナ禍で救急要請が急増しているとして埼玉東部消防組合消防局は13日、救急隊員が水分補給やトイレなどのためにコンビニ店舗の利用を始めた。ローソンやファミリーマートなど大手4社は依頼を受け協力を快諾し、各店舗に周知を図った。同局の救急救命士の女性は12日、報道陣の取材に対し「今年は救急車の出動が多く、消防署に帰り水分補給が難しい。道路沿いのコンビニを利用できればありがたい」と話した。

 コンビニの利用中は救急車のダッシュボードに「水分補給中 トイレ借用中」と書かれた表示を置く。管轄する県東部以外にも患者を搬送する場合があるため、対象は埼玉県内全域とした。

 同局の担当者によると、これまで救急隊員は市民から「私用の買い出しでは」「仕事をサボっている」と思われることを恐れ、ほとんどコンビニを利用しなかった。今後は患者の搬送後に消毒を行い、店員の了解を得た上で最小限利用するとして「私用やサボりで利用することはないので理解してほしい」と話した。

 同局では暑さが本格化した6月下旬ごろから救急要請が増加。7月以降は感染拡大の影響もあるとみられ、7月20日にはここ数年で初めて1日の出動が100件を越えた。18台ある救急車が全て出動する状況も度々あるという。

 同20日、救急車のうち1台は午前10時から連続で9回出動し、午後10時までの約半日で消防署に戻り待機したのは4回で計40分しかなかった。車内には停止中も使える冷蔵庫はない上、衛生のため活動中は食事が取れず、隊員が夕方まで食事が取れないことも多い。同局の福田哲也局長は「隊員の水分補給やトイレ借用は長年の懸案事項なので、同様の取り組みに興味を示す消防局は多いと思う。県全体に広がってほしい」と期待を示した。

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