<川口いじめ>訂正は240カ所…いじめよりつらかった「市教委、学校のうそ」 元生徒側の請求認められる
川口市立中学校の元男子生徒が在学中にいじめを受けて不登校になった問題で、元生徒側が市教委や学校などが作成した文書に誤りや虚偽があるとして訂正を求めていた協議が進み、約240カ所の訂正が認められた。元生徒の母親の森田志歩さんが会見し明らかにした。
訂正要請に対し市側は「記録は当時の担当者の認識」などとして元生徒側の主張を添付記録とすることを主張し、記録を書き直すことには消極的だった事情もあり、協議は難航した。県警の文書では、会議に出席しなかった弁護士が「警察の判断は正しい」などと発言したことが記されていた。
市教委指導課が作成した生徒指導事案概要(2017年8月)には「(学校側の面談要請を)母親は拒否し続け、本人に会えない状態が続いていた」と記述。また、校長が市教委に提出した学校報告書には「母は『いじめがあったことを認めろ、書面で示せ』などと大声で詰め寄り…恐怖を感じた」などと記述していた。学校の報告とは違う内容を市教委が記述していたケースも見つかっている。
これに対し、森田さんは校長が訪ねてきて元生徒と面談した際などの音声記録を示し、「面談を妨害した事実はない。実際、息子は校長らにも会い、校長から謝罪の言葉もあった」と説明、「会っていた」と訂正させた。
校長に対して「書面で示せと詰め寄った…」という記述は、発言内容を「謝罪をした言葉だけでもいいから書面にしてください」などと訂正された。
また、学校で行われた関係者会議で出席していない元生徒側の弁護士が「警察の判断は正しい」などと発言したとする県警の文書については「録音音声を確認した結果、弁護士の発言はなかった」と追記する形になった。
森田さんは会見で「息子はいじめられるより、うそをつかれることの方がつらい、苦しいと今も言う。今も心を痛めている。18年からの裁判では勝ったが、息子が失った大切な時間や心に負った大きな傷は癒やされることはない。息子が一歩ずつでも前へ進めるよう親としてサポートしていきたい」と話した。