死ぬしかねぇ…バスに乗った刃物男、立ち上がるも周囲の人は気付かず 凶行寸前に乗客の男女が取り押さえる
路線バス内でカッターナイフを持った男を取り押さえ、車内の安全を確保するなどしたとして、川口署は23日、いずれも川口市在住で自営業野口大介さん(42)、会社員小林良紀さん(32)、国際興業社員細川正大さん(46)、同社バス運転手の野元浩之さん(61)の4人に感謝状を贈った。
野口さん、小林さん、細川さんの3人は5日夜、帰宅するためにJR西川口駅東口バス停留所の4番乗り場に停車した野元さんが運転するバスに乗車した。出発寸前、自身の座席の後ろに座っていた男が「一緒に死ぬしかねぇんだよ」とつぶやいたことに気付いた細川さん。後ろを振り向くと、カッターナイフを手に持っていたことから危険を察知し、速やかに座席を立つとすでに動き始めていたバスを止めて警察へ通報するよう野元さんに指示した。
その一部始終を見ていた野口さんも男を警戒していたが、周りの乗客は異変に気付いていないようだったという。その後男が席を立ち移動を始めたのを見て、とっさの判断でカッターナイフを持っていた男の手をつかみ制圧。恐怖があったが「何かしなくては」と途中で小林さんも加勢した。
野口さんは制圧の過程で軽傷を負ったものの、4人の冷静で迅速な行動により駆け付けた同署員によって男は現行犯逮捕。十数人いた乗客にけがはなかった。
感謝状を受け取り「自分よりも危険を顧みずに行動してくれた野口さんと小林さんに感謝したい」と細川さん。野口さんは「昨年には電車内での刃物事案があったこともあり、どこで何が起こるか分からないと思っていた」とした上で、「命より大切なものはない。今回の事案が車内での安全確保についてさらに改善するきっかけになればいいと思う」と話した。
同署の岩崎茂署長は「勇気ある行動によって凶悪重大事件を未然に防止できた」と感謝の言葉を述べた。