初日は客14万人! 埼玉・川口の「たたら祭り」3年ぶり開催 人気サンバ中止もメインステージに人垣
川口市の夏のイベント「たたら祭り」が27、28日の2日間、同市内の川口オートレース場で開かれ、小さい子どもたちからお年寄りまで、多くの市民でにぎわった。コロナ禍のため昨年、一昨年と中止になり、3年ぶりの開催となった。入り口では市職員らが来場者を一人一人検温。場内放送では「大声の発声はご遠慮ください。マスク着用、手指の消毒を徹底してください」と繰り返した。
祭りは、市内各町会が参加する流し踊りや派手な衣装で人気のサンバパレードが中止となるなど規模を縮小。川口初午太鼓が終日勇壮な演奏を続け、メインステージも人垣で埋まった。市によると、初日の来場者は約14万人だった。
川口鋳物工業協同組合のコーナーには、1964年東京五輪の聖火台を作った伝説の鋳物師鈴木文吾さんの実弟昭重さん(87)がいた。昭重さんは昨年の東京五輪で川口の聖火ランナーのトップを務めるはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で晴れ舞台は消えた。今年2月には妻が倒れ療養中といい、介護の毎日。「面会もできないんだ。でも、俺もがんばるよ」と、昭重さんは笑顔を取り戻した。
市内の小学校時代の同級生5人と来場した市立中学1年生高橋正樹さん(12)は「違う中学校に行った友達とも会えた。祭りは久しぶり。やっぱり特別感があって楽しい」と話した。
福祉施設のコーナーでは安行で障害者16人で毎日パンを焼く「パンラッコ」が陣取った。代表の宮田多加子さん(73)は27日午前8時過ぎに自閉症の次男智史さん(43)ら働く仲間たちと会場に入り準備した。
「息子も楽しそう。3年ぶりのたたらまつり、最高です」と宮田さん。パンラッコはアーモンドとクルミの香りを生かしたタルトで大宮の有名ホテルの焼き菓子コンテストで優勝したこともある。「いろんな人が応援してくれる。みんなが働いているのを見ると、私も元気が出る」と、宮田さんは話した。