埼玉新聞

 

大宮氷川神社で恒例の「薪能」上演 闇に浮かぶ幽玄の美 大勢の市民ら楽しむ

  • 闇に浮かぶ幽玄の世界を楽しんだ大宮薪能=26日午後7時15分ごろ、さいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社

 日没後の暗闇の中、かがり火がたかれた中で演じられる日本伝統の「薪能」が25、26日の2日間、さいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社境内で行われ、今年も大勢の市民らが幽玄の世界を楽しんだ。

 1982年の東北・上越新幹線開業を記念して「大宮薪能」として始められ、今年で38回目。今回も金春、観世、宝生の3流派の「シテ方」と狂言の和泉流を迎え、武将の熊谷直実(蓮生)らが登場する能「敦盛」や、狂言「入間川」などが上演された。

 特設された能舞台は夜のとばりが下りた境内に幻想的に浮かび上がり、昼間の熱気が去った静寂の中、笛や鼓の音が遠く闇に響いた。ゆらめく炎とともに、時折、薪のはぜる音が聞こえ、息をひそめて見詰める人々は、時代を超えて目の前に広がる日本の美を堪能していた。

ツイート シェア シェア