埼玉新聞

 

廃業せずに済んだ飲食店、鍵はIH調理 アドバイスしたのは「さいたま商議所」、活用できる国の補助金が

  • 国の補助金で設置されたIH調理台の前に立つ店主の坪内清さん(右)と妻の直美さん

 さいたま商工会議所(池田一義会頭)は、高齢化に伴い事業の継続が困難になっている事業者などに対し、国の補助金活用のアドバイスを行っている。埼玉県さいたま市南区の飲食店「愛知家」から、業務継続の課題になっている厨房の清掃負担軽減などの相談を受けた同会議所は、補助金の活用でIHクッキングヒーターの設置を提案。支援を受けた同店は廃業を避けて営業を続けている。同会議所は「今後も事業主の悩みや実情に沿った支援をしていきたい」と話している。

 同会議所の支援で調理場にIHを導入した「愛知家」店主の坪内清さん(70)は「清掃の重労働が減りうれしい。高齢になっても店を続けていく道が開けた」と喜ぶ。店は1984年に創業、家庭的な雰囲気で、自家製そばとみそかつ、手羽先などが客に親しまれている。坪内さんも高齢となり、ガスコンロの根詰まりなど、毎日1時間を要する清掃が重労働で、妻の直美さん(59)も「体力が続かず、残念だが廃業も考えた」という。

 坪内さんから相談を受けた同商議所が、国の小規模事業者持続化補助金を活用して、調理場のガス台をIHクッキングヒーターへ切り替えて清掃の負担を減らすことを提案。補助金の申請を支援し、導入が決まった。IHは拭き掃除で、清掃作業は大幅に軽減。火を使わず、安全、清潔な状態を保ちやすいなどのメリットもある。「店を継続する道筋ができた」と話す坪内さんは、県の経営革新計画の承認事業「30品目が摂れる仕出し弁当」の宅配にも力を入れ、常連客の要望にも応えられたという。

 同会議所は、補助金申請の相談を受け付けている。問い合わせは、浦和、大宮、与野、岩槻の各支所または、業務本部(電話048・641・0084)へ。

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