「怖かった先輩」に誘われ20年…まさかの現在地 全てに感謝、恩返しを 埼玉パナ広報・酒井教全さん
熊谷市上川上の熊谷スポーツ文化公園にあるさくらオーバルフォート。ラグビーリーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツのクラブハウスでパソコンに向かっている渉外・広報担当の酒井教全(たかまさ)さん(34)の姿があった。「中学で少し怖かった先輩に誘われてラグビーを始めたが、まさか自分がこんな仕事をしているとは思わなかった」と半生を振り返った。
旧姓は大久保、寄居町出身。寄居中学校時代にラグビーを始めた。深谷高校では2年時に快足WTBとして、初の花園出場に貢献。同志社大学を卒業後、2011年にワイルドナイツに加入。14年に公式戦デビューしトライを決めたが、けがの影響もあって16年に引退。その後は広報担当としてチームを支えている。
世代別の日本代表にも選ばれていたが、ワイルドナイツで選手として在籍した5年間のうち、半分はリハビリに費やした。50メートル走が5秒台の俊足だったが、大学時代やトップリーグ(TL)時代に靱帯(じんたい)を切り、手術を余儀なくされた。けがの完治が見込めず、スピードが戻らなくなり、引退を決意。「迷惑をかけたが、多くの人に支えられたし、チームには感謝しかない」
チーム唯一の広報担当で、外部との窓口。慣れるまでは大変で、現在も慌ただしい日々を過ごしているが、自由度の高い今の仕事にやりがいを感じている。スタッフに入ってさまざまな立場の人たちと接しており、「たくさんの人に応援してもらっていることで、チームがラグビーをやらせてもらっていることを忘れてはいけない」と強調する。
11日にはリーグワン初代王者を記念した優勝パレードが熊谷市役所からコミュニティひろばまでで行われる。「優勝パレードをやってもらえるのが本当にありがたい。ファンサービスは制限されているが、全てのファンに感謝し、今後もより頑張って、地域に少しでも恩返しができれば」と話していた。