1日1杯狭山茶を…入間市が「おいしい狭山茶大好き条例」来月1日施行 議場で「大好き」唱和、制定祝う
入間市議会(定数22)は9月定例会最終日の22日の本会議で、市民が1日1杯の狭山茶を飲むなどの生活を心がけることなどを柱とする「おいしい狭山茶大好き条例」案を賛成多数で可決した。狭山茶の栽培面積が県内の約3割を占める同市で狭山茶の販売や製造、茶文化の振興を見据え、10月1日から施行する。
定例会閉会後には条例案の議決に関わった市議18人や杉島理一郎市長、市執行部、市内の茶業関係者らが市役所内の議場に集合。「おいしい狭山茶大好き」と唱和し、コップに注がれた狭山茶を飲んで制定を祝った。
杉島市長は条例について「主産地としての入間市の狭山茶をPRし、併せて『味の狭山茶』とうたわれる全体のブランドの価値を高め、海外輸出などで高付加価値化を目指したい」と述べ、県内外に狭山茶を発信したいとの考えを示した。
市茶業協会の清水裕司会長(62)は「条例に恥じないような、おいしい狭山茶を飲んでもらえるよう努力したい」と展望を語った。狭山茶を活用した催しや商品の展開にも力を入れていくという。
条例は、狭山茶が「入間市の自然環境と先人たちの努力の上に成り立つ貴重な特産物」と紹介。茶畑が広がる風景や茶のある暮らしを「市民の誇り」としている。
条文ではほかに、毎年6月の第1日曜日を「狭山茶の日」とする▽茶業者は茶業や茶文化の振興を主体的に進める▽市は狭山茶について調査研究し歴史や文化を広く伝えていく―ことなども盛り込まれている。
入間市の2020年の狭山茶の栽培面積は251ヘクタールで県内全体(825ヘクタール)の30・4%を占め、県内トップ。市内には狭山茶の店舗が80~100ある。
総務省の家計調査によると、緑茶葉の年間消費量は12年に1世帯当たり891グラムだったが、21年には759グラムに減少した。年間支出額も17年の同4103円から21年には同3530円に減っている。市農業振興課は「緑茶を急須で入れることが少なくなっているのではないか」とみる。
市は婚姻届を提出した市民に急須を贈るなどして、狭山茶の普及を促している。