弔意と抗議が交錯…安倍氏国葬「功績に感謝/今後見つめ直す機会に」「費用は今必要な場所に/審議足りぬ」
厳戒下の会場周辺で弔意と抗議が交錯した。27日、安倍晋三元首相の国葬当日。東京・日本武道館近くの公園には献花を待つ人が列をなした。近くでは「法的根拠があいまい」と反対集会も。歴代最長政権の中では「森友、加計、桜」と数々の疑惑が噴出し、銃撃事件後は政治と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が続く。分断の苦い余韻を残し、55年ぶりの追悼行事は幕を閉じた。
■県民の声「賛成」
▽所沢市の建設業経営者・男性(75)
安倍さんは一時体調を崩されることもあったが、長い間、多方面において日本に貢献された方。残念な最期を迎えてしまったので、最大の功労者として、国で葬儀を行うべきだと思う。
▽久喜市の50代自営業男性
たくさんの人が献花のために並んでいる。あれだけ長く首相を務めた。反対の声があることは分かるが、大きな視点で見れば、功績を残した。ありがとうと感謝の意を伝えたい。
▽長瀞町の無職男性(80)
複数の海外首脳が参列予定という点で、安倍さんがいかに国際交流に尽くし、多くの功績を残してきたかがうかがえる。長年重責を担ってきた偉人に対し、素直に「お疲れさま」と伝え、今後の外交の在り方や日本の方向性を見つめ直す機会にしてほしい。
▽さいたま市浦和区の会社員女性(36)
国葬の規模やかかる費用については議論が必要だったが、背景がどうであれ、大病を抱えながらも歴代で最も長く国のリーダーを務めた方が亡くなったのであれば、これくらいのことはしても悪くはないと思う。
■県民の声「反対」
▽熊谷市の無職嶋田道雄さん(65)
27日に熊谷駅で行われた国葬反対の活動にも参加したが、個人的には国葬には反対で、やるならば国会での議論を尽くしてからやるべきだった。国会でしっかりと審議することが必要だった。
▽川越市の個人事業主男性(62)
国葬には賛成できない。国民の窮地を救った人でもなく、国を挙げて弔意を表すにふさわしい人物なのか。(政権が)長ければよいというものではない。森友・加計学園やアベノミクスの検証など、生きているうちに話してほしかった。
▽越谷市の主婦(73)
家族葬を既に行ったのだから、本来はそれで終わりなのでは。開催費用は先日の台風被害の支援など、いま必要な場所に使うべき。コロナもまだ収束していない中、数千人も集めること自体が間違っている。
▽さいたま市浦和区の会社員男性(57)
旧統一教会問題の説明責任が果たされていないまま、駆け足で国葬を実施することに不信感しかない。費用の話が議論の主題になっているように感じるが、金額の大小ではなく意義の問題ではないか。