手震える…文化財の屋根に「記名」 改修費用で深谷市がCF、瓦に寄付者こん身の書 旧渋沢邸「中の家」
深谷市は一般から寄付を募り、寄付者の名前を瓦に記して同市血洗島の旧渋沢邸「中の家(なかんち)」主屋の屋根瓦をふき替える作業を進めている。1、2日の両日、「中の家」南側施設で、寄付者自身が三州瓦に記名する瓦記名会を実施。参加者は「手が震える」「記念に残したい」などと話しながら筆を動かした。
「中の家」は同市出身の実業家、渋沢栄一の生誕地。現在、耐震補強工事が行われ、費用の一部を一般から募って屋根瓦の改修も行うことにした。
寄付の募集は8月25日から開始。自治体が募るクラウドファンディングを採用し、1万円以上の寄付者に記名権を贈る。屋根瓦計1万1千枚のうち1千枚に名前を入れ、正面に見える南側の瓦として使用する。目標額は1千万円。1日午後1時半現在、北海道から沖縄まで395人から529万9111円の寄付が寄せられた。
1日午前中は寄付者22人が瓦25枚に市町村名と名前を専用の墨かペンで記した。寄付者は納得いくまで半紙で練習。家で練習したという人もおり、「手が震える」「かすれも悪くないね」「こんなものかな」といいながら筆を動かしていた。
神奈川県相模原市の会社員上田清年さん(59)は妻裕子さん(59)が応募した。清年さんは「記念に残したい」と緊張した様子。栄一が携わった大学を卒業した所沢市の会社員安川隆司さん(63)は「栄一さんは恩人、感謝を感じてます。それを表しました。さらに身近に感じられます」と話していた。
寄付の受け付けは21日まで。記名会は29、30日にも行う。記名方法は市内の高校に通う高校生か書家による代理記名も選べる。深谷市ふるさと納税「ふるさとチョイス」ホームページ、渋沢栄一記念館と同市渋沢栄一政策推進課の窓口に申し込む。
問い合わせは、同館(電話048・587・1100)へ。