どローカルネタに「愛あるいじり」 雑談から「ガチャタマ」誕生 大宮区のアルシェ社長・中島祥雄さん
「面白いことをやろう。どローカルのキーホルダーをガチャガチャにしたら―」。ご当地カプセル玩具(通称ガチャガチャ)の「ガチャタマ」は、仲間うちの雑談から生まれた。2021年3月に発売し、県内の大宮、浦和、与野、川越にとどまらず、東京・東銀座、静岡・沼津へと広がり、シリーズ累計の販売数は15万個を超えている。
仕掛け人の「アルシェ」(さいたま市大宮区)社長中島祥雄さん(54)は、爆発的な売れ行きに驚きを隠せない。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた20年3月ごろ、イベントが次々と中止される中、「共感を得られるか分からないけれど、やってみよう」と企画をスタート。理解はなかなか得られず、販売までに1年を要した。
グッズ化されるはずのない老舗喫茶店「伯爵亭」や商業施設の建物などをガチャ化。「やや受けで、用意した千個が1カ月で売れたらと思っていた」ところ、2日間であっさり完売した。「愛あるいじり」を忘れずに、期せずして、地域活性化のアイテムに化けた。短文投稿サイト「ツイッター」のつぶやきの影響も大きく、県内ばかりでなく全国の自治体から作ってほしいとの依頼が引きも切らない。
大宮駅西口のファッションビル「アルシェ大宮」を運営する立場。駅周辺の商業施設とはライバル関係にありながら、意気投合する部分もある。「根底にあるのは、大宮をどう盛り上げていくか。大宮に多くの人を集めるのは使命」と話す。
10月10日にはJR大宮駅の東西連絡通路で、東口・西口対抗連結大綱引き大会を3年ぶりに開催した。大綱引きも当時の大宮駅長らとの雑談から生まれたという。「大の大人が駅構内で綱引きをする。こういうバカバカしいことをやらせてもらえることがありがたい」
全ては人の縁という。「ここ数年はコロナの影響で、雑談がしにくかった。収束後、リアルな会話から、新しいネタを仕込んでいきたい」と次なるホームランを狙っている。