3歳男児死亡、24歳母も…襲った母の兄、精神障害あるも無期懲役 無罪主張も裁判長が認めなかった理由
2022/11/08/00:00
2019年12月、さいたま市桜区で妹=当時(24)=とおい=同(3)=を包丁で切り付け殺害するなどしたとして、殺人などの罪に問われた、同区道場、無職安保友佐被告(28)の裁判員裁判の判決公判が7日、さいたま地裁(佐々木一夫裁判長)であり、佐々木裁判長は検察側の求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決理由で佐々木裁判長は、安保被告が患っていた妄想性障害や自閉症スペクトラム障害が犯行に影響を与えていることに否定はできないとしつつ、「他に取り得る選択肢があった中で、自らの自発的な判断により犯行を決意したと認められる」と指摘。安保被告は犯行時、的確に状況を判断して合理的に行動しており、「精神障害は間接的、限定的に影響を与えたにとどまっている。犯行が精神障害の著しい影響下で決意され、実行されたと認めることはできない」とした。
その上で、犯行態様は極めて残忍かつ残虐な犯行で、妹とおいが味わった肉体的苦痛や絶望感は計り知れないとし、「3歳と24歳の命が無残に奪われた結果は重大というほかない」と述べた。
弁護側は、安保被告の犯行は妄想性障害や自閉症スペクトラム障害の圧倒的な影響があったとして、心神喪失で無罪を主張していた。
判決によると、安保被告は19年12月8日午後6時5分ごろ~同6時47分ごろ、さいたま市桜区で、同居する妹の頭部や顔面、左腕を包丁やナイフで切り付けるなどして殺害し、おいの頭部や顔面を包丁で複数回切り付け、殺害するなどした。