公園に設置された防球ネットの破損部分をすり抜けたサッカーボールが当たりけがを負ったなどとして、戸田市の公務員女性（51）が、同市に対し慰謝料など計約2240万円を求めた国家賠償請求訴訟の判決が9日、さいたま地裁であり、関根規夫裁判長は原告の請求を一部認め、市側に約74万円の支払いを命じた。

　判決理由で関根裁判長は、公園に設置された防球ネットに破損部分からサッカーボールがすり抜けて路上に飛び出してしまう状況であったことを認め、安全性を欠いていたとした上で「公園の管理に瑕疵（かし）があった」と指摘した。一方でサッカーボールが当たったことで梨状筋症候群を発症したという原告側の主張については、日常生活を送る中でも発症する可能性があるとして「他覚的所見が乏しい」と退けた。

　訴状などによると、原告は2019年4月13日、飼い犬の散歩のため公園前の路上を歩行していたところ、公園内で男性が蹴ったサッカーボールが公園の周囲に張られている防球ネットの破損部分を通過して原告の左腰部に直撃したとして、市側に慰謝料などを求め20年に提訴していた。