埼玉新聞

 

さらに大混雑の予想!秩父夜祭、6年に1度の状況で 満室迫るホテルも 雑踏事故を回避へ準備、何が起きた

  • 秩父署の警察官に、屋台芝居の警備態勢などを確認する宮地の町会員=21日午後8時半ごろ、秩父市番場町の秩父神社

 日本三大曳山(ひきやま)祭に数えられる、秩父夜祭(ユネスコ無形文化遺産)が12月2、3日に秩父市で開かれる。今年は豪華絢爛(けんらん)な6基の山車の曳(ひ)き回しが3年ぶりに復活。加えて、3日の大祭が約6年周期で巡ってくる土曜開催に当たることから、県内外から多くの来場者が見込まれる。市内の祭り関係者や秩父署、消防署員らは21日、秩父神社(同市番場町)で「秩父祭対策連絡協議会」を開催。会場の混雑で懸念される雑踏事故や感染症拡大を防止するため、安心安全な祭り運営に万全を期すことを誓った。

 秩父夜祭は毎年、12月2日(宵宮)、3日(大祭)の日程で行われる。一番の盛り上がりを見せる大祭の開催日が平日か休日かで、来場者数は大きく変わる。市観光課によると、前回、土曜に大祭が行われた2016年の来場者数(2日間計)は約38万6千人。木曜が大祭だった15年時の来場者数と比べると、約15万4千人多い。

 21日午後7時から行われた協議会には、山車を曳く各町会や秩父神社、観光協会、雑踏警備、鉄道関係者ら約100人が参加。屋台・笠鉾(かさぼこ)の進発順序や巡行ルート、入場規制区域、交通輸送態勢などを確認し、各会場の混雑回避に向けた警備計画を入念に打ち合わせた。

 秩父署は大祭の3日、県警本部や機動隊の応援も得て約700人態勢で雑踏警備に臨む。10月に韓国・ソウルの繁華街で発生した将棋倒しの大規模死亡事故のような惨事を防ぐため、混雑が予測される交差点には「DJポリス」を配置。当日は警察官約10人で、来場者に安全な移動を拡声器で呼びかける。

 同署の伊勢谷竜司地域課長は「DJポリスは、各会場周辺の混雑状況や、安全ルートの案内など、多くの情報を通行者に伝え、人流を分散させる役割を持つ。各関係機関との連携強化に努め、無事故の祭りにしたい」と話した。

 宮地屋台の総行事長、松田洋文さん(67)は「3年ぶりの祭りで活気づいているが、感染症の拡大が一番の心配。今年の祭りは『例年とは違う』ことを肝に銘じたい」と、気を引き締める。例年なら、打ち合わせや太鼓ならしの時に会合(飲み会)を開くが、今年は町会みんなで集まる場は設けない。

 同屋台は今年、秩父夜祭の見どころの一つである「屋台芝居」の舞台になる。松田さんは「土曜開催ということもあり、芝居が行われる秩父神社境内には、恐らく多くの人が集まる。警備の方の力を借りて、間隔の確保を心がけたい」と語った。

 秩父地域で最大客室数(約75室)を誇る、ナチュラルファームシティ農園ホテル(同市大宮)は、12月2、3日の宿泊予約は約90%埋まっている(今月18日現在)。夜祭が中止になった20年時の客室稼働率は、12月2日が約20%、3日が約50%だったことから、同ホテル支配人の稲垣稔さん(57)は「今年は例年通り、県内外から多くの観光客が夜祭見物に訪れる」と推測している。

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