埼玉新聞

 

阿炎が初V、埼玉・越谷出身 小学生時代から指導の恩師、阿炎とLINE「抱き合って泣いちゃうかも」

  • 阿炎関の初優勝を喜ぶ相撲ファン=27日午後、草加市氷川町の相撲居酒屋「闘勝花」

 越谷市出身で西前頭9枚目の阿炎関=本名・堀切洸助さん=が大相撲九州場所を制し、初賜杯を手にした。新型コロナガイドライン違反の3場所出場停止や手術を乗り越えた末の悲願に、恩師は「上を目指して」と激励。小中学校時代に稽古場のあった草加市の飲食店は、「よくやった」「恩返しの活躍」と歓喜に包まれた。

 草加市氷川町の相撲居酒屋「闘勝花」では、午後3時前から相撲ファンが集まった。阿炎関が28年ぶりの優勝決定ともえ戦を制すと、大きな歓声が上がった。

 オーナーで元力士の福田雅文さん(43)は阿炎関と昔から親交があり、「今日一日を盛り上げてくれた」と喜んだ。

 越谷市立西方小学校1年の時に「わんぱく相撲越谷場所」出場がきっかけで、3年生から本格的に相撲の道へ。練習環境を求めて草加市の「草加相撲練修会」に通った。大相模中学、千葉県立流山南高校を卒業後、角界入りした。

 順調に番付を駆け上がるも、2020年7月場所中に新型コロナガイドラインに反した不要不急の外出で、3場所出場停止処分を受け、番付は幕下に転落した。

 7場所ぶりに再入幕した1年前の九州場所で敢闘賞を受賞し復活。今年初場所でも最後まで賜杯レースに加わった。

 草加相撲練修会で監督を務めていた常光弘泰さん(58)は阿炎関を小学6年生から指導した。「本当によくやった」と大絶賛し「あいつの夢は大関。これでもっと上(の番付)を目指し、夢に向かって一歩踏み出せる」と期待した。

 小学生時代の阿炎関は「手足が長く、ひょろっとした印象」。しかし勝負事となると負けん気が強く、天性の相撲センスで実力を伸ばした。「大会があるたびに『俺、優勝するから』といつも言っていた。ここ一番に強い子。今場所も手術明けで心配したが、思い切り良い相撲が光った」

 コロナ下で最近は会えていないが、無料通信アプリLINE(ライン)で連絡を取り合う仲。もし久しぶりに顔を合わせたら、「うれしくて抱き合って泣いちゃうかも」。常光さんは、その日を心待ちにする。

 夢をかなえた阿炎関に対して「(出場停止時は)親方や後援者など多くの人に迷惑をかけたから、少しは報えたのでは」と気持ちを察し、「(結婚して)家族もできた。初優勝は大切な家族と喜んでほしい。そして多くの支えに恩返しできる活躍を、今後も続けて」と教え子にエールを送った。

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