性犯罪から身を守って…県警、女子学生に防犯講話 夜の一人歩きなど被害状況を紹介、身近な危険に注意促す
大学進学や初めての1人暮らしなど、新生活を始める人も多い春。若い女性や子どもを狙った性犯罪から身を守ってもらおうと、県警が県内の大学1年生を対象に防犯講話を行っている。被害に遭わないために、もし被害に遭ってしまったら―。身近な危険と対策を学生たちに伝えている。
■危険な「ながら歩き」
「夜1人で道路を歩く。皆さんにとって日常的ではないですか」―。入学式から間もない4月中旬、東京家政大学(狭山市)健康科学部の新入生約180人に、県警の防犯指導班「ひまわり」の女性警察官が語りかけた。県内の被害状況などを紹介しながら、夜の一人歩きに注意を促す。
防犯講話では、スマートフォンやイヤホンを使用しながら歩く「ながら歩き」を女子学生3人が体験。壇上を歩く学生の後ろから不審者役の女性警察官が近づき、イヤホン未使用時と使用時では不審な人物に気付くまでの距離と時間にどのくらい違いが出るかを確かめた。
イヤホンを使用せずに歩いた場合は、全員が肩をたたかれる数メートル手前で不審な気配を察知。一方、イヤホンで音楽を聴きながら歩くと、全員が肩をたたかれる結果に。中には女性警察官に顔の横で手を振られても、携帯電話の画面を見たまま気付かない学生もいた。
体験した看護学科の松井萌さん(18)は「普段(イヤホンで)聞いている音量が大きいという意識はなかったが、人の気配には全く気付かなかった」と驚いた様子。同学科の高梨月(るな)さん(19)は「暗い道だからこそ怖くて、寂しさで音楽を聴いてしまう」とつい、ながら歩きをしてしまう気持ちを話しながらも「見直さないといけない」と危険性を理解したようだった。
ひまわりは被害に遭わないための対策として、明るく人通りの多い道を選ぶ▽後ろを確認しながら歩く▽大声や防犯ブザーで助けを求める▽ながら歩きをしない―を挙げ、被害に遭ってしまった場合でも「迷わず110番を」と学生たちに呼び掛けた。
県警は同大で数年前から防犯講話を実施。毎年、新入学の時期に行っている。看護学科の安達祐子教授は「学校周辺は夜間暗い道も多く、環境に慣れていない1年生は特に危険度も高い」と懸念。防犯講話を通して「日常の中に危険があることを意識してもらうきっかけになれば」と学生たちの安全を願う。
県警によると、昨年認知した強制わいせつ事案は409件(前年比69件減)。被害の約半数は路上で発生し、そのうち被害者が「ながら歩き」をしていたケースは約4割。最も発生が多い時間帯は午後10時から午前2時だった。
■新入学の時期に防犯講話「1年生は特に危険」
県警は同大で数年前から防犯講話を実施。毎年、新入学の時期に行っている。看護学科の安達祐子教授は「学校周辺は夜間暗い道も多く、環境に慣れていない1年生は特に危険度も高い」と懸念。防犯講話を通して「日常の中に危険があることを意識してもらうきっかけになれば」と学生たちの安全を願う。
県警によると、昨年認知した強制わいせつ事案は409件(前年比69件減)。被害の約半数は路上で発生し、そのうち被害者が「ながら歩き」をしていたケースは約4割。最も発生が多い時間帯は午後10時から午前2時だった。
■在宅時も注意して
県警生活安全総務課は「春の防犯講話では、新生活に合った内容を盛り込むように意識している。路上での性犯罪だけでなく、施錠する習慣をつけるなど、在宅時の被害にも注意してほしい」と呼び掛けている。