いじめで裁判や自殺…「大ウソつき」と遺書に書かれた川口市教委、市が機能強化へ 教職員の不祥事にも対応
川口市の奥ノ木信夫市長は30日の記者会見で、いじめ問題や教職員の不祥事に対応するため、市教育委員会事務局の組織について「法律の専門知識を持つ職員も加え、対応する管理部門を新設し、機能強化を図りたい」と述べた。
市教委は学校教育部と生涯学習部の2部体制だが、市長は「業務が多く学校教育部だけでは対応できない。具体的には今後、茂呂(修平)教育長と相談していく」と語った。
市教委を巡っては、市立中学校在学中のいじめ被害を受けた元男子生徒が「市教委は大ウソつき」と遺書を残して自殺。いじめを受けた別の中学の元男子生徒が「学校や市教委の対応が不適切だった」として市に損害賠償を求めて提訴している。
いじめの防止や重大事態への対応、裁判などについて、市教委の学校教育部指導課が全てを担っている。県や文部科学省から「不十分だ」との指導を繰り返し受けていた。
奥ノ木市長は「最近、大野(元裕)知事に面会した際、いじめ問題で注目されていることに関連し『川口市教委は管理部門が不足しているのではないか』という指摘を受けた」と語り、市教委の強化方針には知事からの助言があったことを明らかにした。
市教委には、裁判や事件を扱える法務部門はなく、いじめ裁判は学校教育部指導課が担当し、市長部局の専門職員の応援を受けている。市長方針は法務部門のほか、教職員の不祥事防止も含めた対応策も視野に入れている。
■いじめ未然防止「3年で結果出す」/川口市教育長
27日の川口市議会で再任への同意議案が賛成多数で可決された茂呂修平教育長が30日、一連のいじめ事件に関連して初めて記者会見し「学校教育では全ての活動で児童生徒との確かな信頼関係があれば、いじめなどの未然防止、重大事態の防止につながる。今後の3年間で結果を出していきたい」と抱負を語った。
「市教委は大ウソつき」と遺書を残して市立中学の元男子生徒が自殺した問題については「心よりご冥福を祈り、お悔やみを申し上げます。中学在籍中に問題を解決できなかったこと、市民にご心配を掛けたことをおわびしたい」と述べた。
元男子生徒宅に茂呂教育長、山田浩一学校教育部長、三浦伸之指導課長ら3人が9月15日に訪問したが、焼香など弔問の行為は家族から断られたという。