埼玉新聞

 

タンクローリー全焼で2人死亡、整備工場の元社長を書類送検 消防への届けなく、器具も使用せず/狭山署

  • 狭山署=狭山市稲荷山

 狭山市の自動車整備工場で2018年2月、自衛隊が所有するタンクローリーが全焼し2人が死亡した事故で、県警捜査1課と狭山署の合同捜査班は1日、業務上過失致死の疑いで、同社の元社長で顧問の男(71)をさいたま地検に書類送検した。

 書類送検容疑は、18年2月22日午後4時50分ごろ、狭山市入間川2丁目の「内山自動車工業」で、タンクローリーを点検する際、地元消防に届け出ず、必要な器具を使用しないなど安全管理を怠って火災を発生させ、従業員の26歳男性と41歳男性=いずれも当時=に重いやけどを負わせて死亡させた疑い。「私に責任がある」と容疑を認めているという。

 同課によると、同社はタンクローリーのポンプを点検するため、内部に循環させる灯油3千リットルを使用。消防法では1千リットル以上を取り扱う場合に地元消防への届け出を規定しているが、元社長は届け出ていなかった。また、政令ではホースとタンクをつなぐ注入管と呼ばれる器具の使用を定めているが、元社長はこれを使わず、タンクローリー上で従業員2人に手で固定させていた。

 火災ではタンクローリーから出火し、上部で作業していた2人が死亡。近くで作業していた別の男性従業員2人も顔や手に重いやけどを負った。はねた灯油が霧状になって漂い、静電気により発火したとみられる。元社長も近くにいたが、火災に気付いて逃げたため無事だった。

 元社長は同様の作業をする場合、加入する組合から消防に届け出るよう過去にも指導されていた。県警の調べに「灯油が霧状になると引火する可能性があると認識していた。法令に沿ったやり方で実施すべきで、危険性の認識が欠如していた」と供述しているという。

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