一人親家庭、助けたい 富士見のNPO「ポトフ」、食料品を無償配布 川口、越谷、深谷、朝霞でも取り組み
一人親家庭の経済格差などによる子どもの貧困が社会問題となる中、子ども食堂を開設している富士見市水子のNPO法人「ポトフ」(戸賀沢隆士代表理事)が、フードバンク団体「セカンドハーベスト・ジャパン」(東京都台東区)から提供されたレトルト食品をはじめ缶詰やお菓子など食料品を一人親家庭などに無償配布する事業「子育てフードパントリー」を開始した。2カ月ごとに事業を行う予定。
同法人は「利用者に『来て良かった』、われわれは『やって良かった』と思えるように継続していきたい」と張り切っている。
「育ち盛りの子どもがいるので、食糧は不足気味。とても助かります」。10月21日午後7時半すぎ、フードパントリーの会場となった富士見市鶴瀬東の鶴瀬駅前メモリードホールで、会社員女性(47)は棚に並べられた食料品を籠に入れながら話した。
女性は高校生と中学生の2人の子どもを養育する母子家庭だ。同様に母子家庭で小学生2人を育てる会社員女性(32)は「年収は200万円ぐらい。いつもぎりぎりで将来の貯蓄ができないのが悩みです。フードパントリーはありがたく、今後も利用したい」と話した。
■初回は50世帯が利用
この日は同法人の初めてのフードパントリー。市などを通じて、児童扶養手当や一人親家庭等医療費の受給者を対象に利用者を公募。応募した約60世帯のうち約50世帯が午後5時半から午後8時まで、会場を訪れ、各世帯が籠1個分(約5~6キロ)の食料品を持ち帰った。
フードパントリーは、必要とする人に届けるため、食品メーカーや流通業者、個人などから寄付を受けている「セカンドハーベスト・ジャパン」から調達した食料品を無償配布する。ポトフによると、県内では川口市をはじめ、越谷市や深谷市、朝霞市などで支援団体が取り組んでいる。
■事務所でも子ども食堂
ポトフは3年前、「孤立しがちな子育てに奮闘する家庭を支援し、子どもの健やかな成長に寄与しよう」と市内で子育て支援に取り組む主婦や会社員らが立ち上げた。2016年10月から毎月第2木曜の午後6時から2時間、市内の水谷公民館で子ども食堂「いっしょにたべよ」を開設している。
生活困難を抱える家庭をさらに支援するため、組織の透明性や信頼性を高めようと、今年8月にNPO法人の認可を取得。フードバンク事業に着手するとともに、同月から毎月第2木曜以外の木曜日に戸賀沢さんの自宅兼ポトフ事務所で、子ども食堂を開いている。
戸賀沢さんは「今は隔月のフードパントリーを継続することが第一の目標だが、将来的にはフードパントリーや子ども食堂の回数や場所を増やしていけるように検討していきたい」と話している。
問い合わせは、ポトフ事務局(電話080・7159・3908)へ。