大宮で性暴力撲滅を訴え フラワーデモ、県内で3回目の開催 参加者に安堵…一人じゃない頼れる人いる
花を手に性暴力の撲滅を訴える「フラワーデモ」が埼玉を含め全国で広がりを見せている。声を上げられない社会から、被害を訴え、一人じゃないと思える社会へ。女性たちが中心となって、駅頭など街頭で呼び掛けを続けている。
「性暴力のない社会を あなたは一人じゃない」。県内では3回目の開催となった今月11日夜、JR大宮駅西口には、約60人の参加者が花やプラカードを手に集まった。
「私の娘は児童養護施設で年上の男子児童から性被害を受けました」。三重県から参加した春日水鳥(みどり)さん(44)は初めてフラワーデモに参加した。
春日さんの娘が被害を受けたのは7歳の頃。加害児童は13歳の男子児童だった。「県にも責任はあるのではないか」。2013年、加害児童親子と県を相手取り、民事訴訟を起こしたが、県の責任は認められなかった。「公表されている被害は氷山の一角。児童間の性暴力は支配関係を表すために行われる場合も多く、暴力が性暴力に変わっていく深刻な問題」と実態の把握と子どもを守る対応の必要性を訴えた。
静かに参加者の話を聞いていた女子大学生(21)も初めてマイクを握った。中学3年生の時、登校途中に道を聞かれた男性に体を触られたこと、女性の担任や母親にも苦しみを理解してもらえなかったこと、時折言葉を詰まらせながら語った。「誰にも頼れない。心を殺していた」。そう振り返ったが、話を終えた後には「口に出しづらいことを訴えて、頼れる人がいることが分かった。ここまで時間がかかったが話せるようになって良かった」と安堵(あんど)した表情で他の参加者の話に耳を傾けた。
フラワーデモは昨年、愛知県や福岡県などで、性犯罪事件の無罪判決が相次いだことを契機にJR東京駅前で初開催。全国各地で毎月11日に開催され、県内では昨年12月に初めて行われた。
フラワーデモの呼び掛け人の一人、野田静枝さん(72)は「性暴力というたった3文字の中で女性がどんなことをされたのか知る必要がある。そのために私たちはずっと声を上げ続けていく」と話した。
次回は3月8日午後6時から、JR浦和駅東口で開催予定。