埼玉新聞

 

<新型コロナ>お持ち帰り弁当に注力、老舗うなぎ割烹「高橋屋」前向き SNS駆使、真空パックも全国配送

  • 従業員と奮闘する高橋明宏代表(右後ろ)

 杉戸町で明治時代から140年続くうなぎ割烹の老舗「高橋屋」(同町杉戸)。新型コロナウイルス感染拡大の影響で来店者数が激減する中、危機を乗り越えようと従業員が奮闘している。

 「高橋屋」は古利根川のほとりにたたずむ。地元割烹として伝統を築き、近年では真空パックを全国に配送する通販部門で売り上げを伸ばしてきた。

 しかし、感染拡大の影響は老舗も歴史も関係ない。店は緊急事態宣言、外出自粛を受け、来店者が激減。インターネット通販やテークアウトへの注力を余儀なくされている。

 逆風の中、4代目の高橋明宏代表は「お店に来られるお客さんは減ったが、ウナギは火を入れるので、生ものに比べれば食べやすい。こんなときだから高橋屋を知ってほしい」と前向きだ。

 従業員総出で、販売に力を入れている。真空パックの販売、テークアウトの弁当を求める消費者向けに会員制交流サイト(SNS)で情報を発信。老舗に付きまとう施設の古さを払拭(ふっしょく)するため、衛生面や食品加工の安全性を強調するなど、頻繁に情報を更新している。

 周辺地域向けには「うな重弁当」を宣伝するチラシを作成。担当の関根蒼太支配人は、敢えてアナログな手書きにこだわった。「緊急感と情熱が伝わるチラシ。地元を中心になるべく広い地域に届けたい」と意気込む。地図アプリを活用し、配布エリアの情報も従業員間で共有している。

 来客が減り、仕事が少なくなった従業員がチラシを配布している。普段、うなぎの骨抜きなどの業務に携わっているのは町内在住の諏訪真弓さん。臨時休校中の長男真優斗さん、長女愛弓さんとランニングしながら、1日100枚ほどチラシ配りに精を出している。

 諏訪さんは「子どもと一緒に話しながら、運動不足解消にもなる。子どもといる時間が多く、正直仕事が良い息抜きになっている」と笑顔を見せる。

 従業員総出の努力で、販売数は、何とか3分の1ほどに減り幅を食い止めている。高橋さんは「きつい時期だから従業員を休ませるというのは許せない。うちで働いていて良かったと思ってほしいし、仲間とのいつもの努力がここに来て実っている」と手応えを口にした。

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