埼玉新聞

 

温かい子ども見守り、14年続く 戸田・笹目小の校門前で見守り隊 最長老の隊員「100歳まで続ける」

  • 毎朝、笹目小前の交差点の真ん中に立ち登校の児童を見守る勝山雅夫さん。向こう側に隊長の萩原脩さんがいる=戸田市

 戸田市立笹目小学校(大沼公子校長、児童数288人)の校門前の交差点で、地域住民でつくる「笹目5丁目子ども見守り隊」による登下校の見守り活動が14年間続いている。今年はコロナ禍の長期休校で活動は休止していたが、6月の学校再開から例年通りの活動に戻った。隊長のガソリンスタンド経営、萩原脩さん(77)は「無理せず、自由にやってきたのが長続きの秘訣(ひけつ)です」と言う。

 見守り隊の隊員は総勢16人。来年3月の結成15周年を迎えるまであと半年になった。最長老の元会社員勝山雅夫さん(94)は「まだまだ、100歳まで続けるぞ」と意気込む。

 毎朝午前8時、校門北側の交差点に立つ勝山さん。その傍らにいつもいるのが萩原さんだ。

 隊の結成は2006年4月。前年の05年12月に栃木県今市市(現・日光市)で小学1年生の女児が下校途中、行方不明になり、翌日、茨城県内の山林で刺殺体で見つかる事件が起きた。当時、笹目5丁目町会長だった萩原さんが「地域で子どもを見守ろう」と提案した。

 「今市の事件で、子どもを地域で守りたいという機運が盛り上がった。笹目小に子どもを通学させている周辺では5丁目町会が最も早く見守り隊を始めた」。萩原さんは当時を振り返り、「自分の健康に合わせて、見守る場所と時間を選んでもらった。無理をしない、強制しないがモットー」と、マイペースで活動を続けている。

 青果店の店先に椅子を出して、登下校の子どもたちを見守る80代の女性がいた。石塚フジさん。14年1月のある日、前日いた石塚さんがいないのに気付いた萩原さんが「どうしたの」と店の人に聞くと、「入院したよ」との返答。翌日、石塚さんは他界。84歳だった。

 萩原さんは「あの世へ行く2日前まで、子どもたちを見守ってくれていた」と石塚さんをしのぶ。

 活動継続の原動力になっているのが、地域に根差した学校への思い。「私の祖父、父母、私、私の子、孫が、全部笹目小学校の卒業生。5世代にわたってこの小学校の世話になった。なんたって明治7(1874)年の開校。146年の歴史がある」と萩原さん。

 大沼校長は「見守り隊のおかげで、すごく助かる。たくさんの人が道に立って、子どもたちに声を掛けてくださる。子どもたちも安心して通えるんです」と感謝している。

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