埼玉新聞

 

放火やストーブなどが原因…死者多く出る住宅火災、さいたま市が予防を強化 死者数、過去最多と並ぶ

  • 3人が死亡した住宅火災の現場。住宅火災による3人死亡はさいたま市合併後で初めてだという=10月22日、さいたま市中央区新中里

 埼玉県のさいたま市内で火災が多発している。今年1月~11月12日に、火災による死者は16人に上り、既に過去10年で最多だった2015年の数字と並んでいる。市は11月を火災予防強化運動月間に指定。死者の多く出ている住宅火災の予防を特に強化しており、住宅用火災警報器の設置、点検、交換を呼び掛けている。

 市消防局予防課によると、1月から11月12日までに市内で起きた火災は221件(概数)で、このうち住宅火災は79件。死者は住宅火災の14人を含め16人だった。昨年1年間の火災は252件で、このうち住宅火災は87件。死者は住宅火災の10人を含む14人で、既に昨年を上回っている。

 空気が乾燥し始めた10月以降の死者は5人に上る。10月21日には中央区新中里の2世帯住宅で火災があり、3人が死亡した。市合併後、死者3人の住宅火災は初めてだという。死者の出た住宅火災は9件で、火災の原因は配線3件、放火2件、ストーブ1件、ろうそく1件、不明2件。住宅用火災警報器が設置されていないケースもあった。

 就寝中などの住宅火災による逃げ遅れを防ぐため、煙や熱を感知する住宅用火災警報器が、新築住宅は06年6月から、既存住宅は09年6月から市火災予防条例で義務付けられた。今年6月時点で、市内の設置率は81・9%。しかし、今年発生した住宅火災79件のうち、法令基準通りに設置されていたのは58・2%で、昨年も約55%だった。

 住宅用火災警報器は、電池切れや電子部品の老朽化による交換の目安が10年とされている。市消防局は設置義務から10年を経過した18年度から、06年6月以前に建築された住宅や65歳以上の高齢者の居住する世帯を対象に防火訪問を実施し、警報器の設置状況などを確認している。警報器内にほこりが付くと、正確に作動しない場合もあり、日頃の点検や清掃も必要だと伝えているという。

 同課は「火災の早期発見と逃げ遅れを防ぐために、住宅用火災警報器の設置、点検、清掃、交換をお願いしたい。空気が乾燥していると、火災が起きたときに燃え広がりやすくなるので注意してほしい」と呼び掛けている。

 市はこのほかにも、運動期間中、防災無線や消防車の巡回、大型商業施設、学校などでの啓発広報を実施。25、26日には大宮区の防災センターで、高齢者施設の防火管理者を対象にした講習会を開催する。

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