勇気ある行動!引っ込み思案な中学生、食品募り寄付 心意気に自治会も協力、周囲の大人や地域動かす
家庭の余剰食品を生活困窮世帯などに無償提供するフードドライブを行うコーププラザ春日部(埼玉県春日部市中央)に200キロ近い大量の食品が届けられた。届け主は、杉戸町の昌平中学校3年・宗像寿樹さん(15)。コロナ禍の中、一人で始めたことだったが、その思いと行動が、周囲の大人たちや地域を動かし実現した。
宗像さんは授業で学んだ子どもの貧困について興味を持った。日本では7人に1人の子どもが貧困状態の一方、年間600万トン以上の食品廃棄がある。コロナ禍の今、その格差がより深刻なことに「自分だけ普通に暮らしていて、申し訳ない気持ちになった」。普段は消極的で引っ込み思案だという宗像さんが行動を起こす。
地元自治会「フレッシュタウン」の山下固(まこと)副会長(77)の自宅を直接訪れ、地域の家庭で余った食品をフードドライブに届けたいと協力を仰いだ。山下さんは「問題意識を持った子だね。その心意気に応えてあげたかった」と快く申し出を引き受けた。
宗像さんは寄付を募る食品や回収方法などを記したチラシを作り、自治会メンバーと570戸に配布。年末の約1週間、自治会館で寄付を受け付けた。持参できない高齢者宅には、授業が終わってから回収に出向いた。延べ43人の住民から食品557点、約190キロが集まった。品目ごとに数量や重量などを表にまとめ、仕分け作業も一人で行った。
コープみらい(さいたま市南区)では県内コープ施設でフードドライブを実施している。5日、宗像さんはコーププラザ春日部に父親が運転する車で段ボール約10箱分の食品を寄付した。コロナ禍の影響で寄付は例年より少なく、同プラザでの昨年4~12月の合計は約190キロ。同プラザの福地裕子さん(58)は「1回の寄付が昨年の合計とほぼ同じ。段ボール箱がずっしり重く、中身を見なくても、作業の苦労や深い思いが感じられた」と感心する。
住民からは「勇気ある行動に賛同する」などの激励やお礼の手紙も寄せられた。コロナ禍の中での行動に不安はなかったという。「むしろ、こういう時期だからやらなければって。自治会の協力がその思いを後押ししてくれた」と笑顔を見せた。