「いつもありがとう」少女からの手紙に笑顔 女子児童3人が感謝の気持ち、地域守る駐在さんの大きな活力に
「おまわりさんへ、いつも山田の安全を守ってくれてありがとう」―。川越署山田駐在所=川越市山田=の吉田直人巡査(24)は、昨年から駐在所に隣接する川越市立山田小学校の女子児童3人とあいさつを交わすようになり、今年3月からは手紙を受け取るなどの交流を深めてきた。吉田巡査は「初めて手紙をもらった時は、本当にうれしかった。とても励みになってます」。心のこもった手紙と少女たちの輝く笑顔が、地域の安全を守る“駐在さん”の大きな活力だ。
交流が始まったのは昨年。山田小に通う横沢心遥(こはる)さん、鈴木梨菜さん、倉浪なつ音さん=いずれも3年生=が遊びに出かける際、よく通る山田駐在所前で、あいさつをするようになったのがきっかけだった。駐在所の事務室にいる時も窓越しから笑顔で手を振ってくれる3人に、吉田巡査も毎回笑顔で手を振り返していたという。
今年3月15日、横沢さんが1人で来所して手紙を手渡した。「周りのみんなを見守ってくれているから、お礼に書こうと思った」と横沢さん。そのことを知った鈴木さんと倉浪さんも後日、手紙を書いて渡した。吉田巡査もお礼にミニパトカーを見学してもらうなど交流を重ねてきた。吉田巡査について「いつもお話ししていて楽しい」と鈴木さん。倉浪さんも「かっこいい」。3人にとって、街の平和を守るヒーローのような存在だ。
「いつも、みまもってくれるので安しんです」「おまわりさんが大すき」「いつも、おしごとがんばっていてすごいね」…。少女たちからの手紙は、吉田巡査への思いであふれている。手紙のほかに吉田巡査と駐在所で一緒に暮らす妻茜さん(24)と長女紗希ちゃん(1)へ、ハートの折り紙やペンダントなどのプレゼントも。これら全てを大切に保管している吉田巡査は、「何にも代えられない喜びとやりがいがある」と少年のような笑顔を見せる。
吉田巡査は幼い頃、毎朝交差点に立ち、あいさつしてくれる警察官の姿を見て、地域に密着している“駐在さん”への憧れを抱いた。2020年3月に山田駐在所に配属されて3年目の春。「やっと夢がかなったような心境。地域の方々に親しまれる警察官になれたかなと思う」。自分が誇りを持っている仕事が、小学生にも伝わっていたことが何よりもうれしかった。
川越署は10日、手紙などで署員を励ましてくれたとして3人に感謝状を贈り、木村宏志署長は「頑張って皆さんの安全を守っていきます。これからも優しい気持ちや川越の街を愛する豊かな心を持ち続けてください」と語りかけた。
感謝状の贈呈後、子供用の制服に袖を通し、うれしそうにパトカーと白バイに体験乗車した3人。横沢さんは「安全に過ごせる感謝の気持ちと、もっとお仕事頑張ってくださいという気持ちをまた手紙に書きたいな」と屈託なく笑う。少女たちの思いやりの心が、「困り事とか生の声を聞き、より一層地域に貢献したい」と決意を新たにする吉田巡査の背中を、優しく押し続ける。