「Aランク」は残り1カ所…「危険なバス停」230カ所で対策 20年末は654カ所 関東運輸局が公表
県内で運行されている路線バスのうち、2020年12月に654カ所あった「危険なバス停」が、今年7月までに約35%に当たる230カ所で移設や廃止、安全の確認などの対策が講じられたことが、関東運輸局の調べで分かった。そのうち危険なバス停として対策の優先度が最も高い「Aランク」とされるバス停は、46カ所から1カ所に減少した。同局は、埼玉県など1都7県のバス停留所の安全性確保対策の実施状況をまとめ、ホームページ(HP)に公表している。
埼玉県内は、埼玉運輸支局や県バス協会らで構成する合同検討会が、バスが停車した際に横断歩道や交差点に車体がかかる危険なバス停を抽出。地域住民からの情報提供も行われ、20年12月からリストを公表している。バス事業者は道路管理者や関係機関らと連携し、バス停の移設や廃止などの安全対策を実施することになっている。
県内では20年12月時点で、バスの車体が死角となり事故を誘発する恐れのある危険なバス停は654カ所あったが、今年7月までに全体の約35%に当たる230カ所で安全対策が講じられた。対策の内容はバス停の移設や廃止、横断歩道の移設や廃止、バス運行そのものの廃止もあった。
優先度別では車体が横断歩道にかかるか、3年以内に停車したバスが要因で人身事故が発生している「Aランク」が46カ所から1カ所に改善。横断歩道の前後5メートルか交差点に車体がかかる「Bランク」の366カ所が259カ所、交差点の前後5メートルに車体がかかる「Cランク」の244カ所が166カ所になった。
Aランクで未対策のバス停は、所沢市が西武バスに委託する巡回バスの「七曲り(左回り)」バス停(同市上安松)。近隣小学校の通学路だがガードレールがなく、横断歩道の上にバスが停車する。曲がり角や坂道が多いため移設先の決定が難航しており、停車位置をずらすなどの対応も視野に近隣住民らと協議が進められている。
バス停の移設には行政手続きのほか、移設先のバス停前の住民の同意が必要。埼玉運輸支局は「家の前に列ができたり、ごみが捨てられたりすることを懸念して同意が得られず、対策が進まないことも多い」としている。県内では移設で対策する場合がほとんどだが、バスの廃線により解消されたケースもあった。