埼玉新聞

 

とっさの「実力行使」…ATM停止させカード奪う 詐欺防いだコンビニオーナーに感謝状 警察署長も感服

  • 矢口順一署長から感謝状を受け取る竹内嘉洋さん(左)

    矢口順一署長から感謝状を受け取る竹内嘉洋さん(左)

  • 矢口順一署長から感謝状を受け取る竹内嘉洋さん(左)

 吉川署は、還付金詐欺被害の未然防止で、ローソン三郷戸ケ崎店オーナーの竹内嘉洋さん(37)に感謝状を贈呈した。被害者が振り込む直前にATM機の停止ボタンを押し、間一髪で被害を防いだ行動に矢口順一署長は賛辞を贈った。

 同署などによると、10月14日午後3時ごろ、来店した70代女性が携帯電話で話しながらATMを操作していたため、店舗巡回をしていた竹内さんらが特殊詐欺を疑い声をかけ、「詐欺だからやめた方が良い」とATM操作を中止するよう説得した。しかし、特殊詐欺犯側の話をかたくなに信じ込んでいた女性が操作を続行し振り込もうとしたため、竹内さんはとっさの判断でATM機を停止させ、キャッシュカードを取り上げたという。

 竹内さんは「最初は何を言っても信じてもらえず、駆け付けた警察官が粘り強く説得し、最後に『助かりました』と言われた。防げてよかった」とうれしそうに語り、矢口署長は「被害者に考える暇を与えず、冷静さを失わせる手口で、対応は難しかったと思う。一歩間違えれば顧客とのトラブルにも発展しかねない中、そこまで真剣にやってくれる人はいない」と褒めたたえ、「状況判断が難しい中での勇気ある行動。これからも声掛けをしてほしい」と依頼した。

 同署管内の特殊詐欺発生件数は、10月末現在で44件と昨年同期より7件増。被害総額も1億700万円と5100万円増えており、多発する年末年始に向けより一層の注意を呼びかけている。

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