埼玉新聞

 

正真正銘の搾りたて! 伝統製法で製造のしょうゆが完成 毛呂山、地元サークルが試行錯誤で継承

  • 昔ながらの圧搾器でしょうゆを搾るサークルのメンバーら=10日、毛呂山町大類の町歴史民俗資料館

    昔ながらの圧搾器でしょうゆを搾るサークルのメンバーら=10日、毛呂山町大類の町歴史民俗資料館

  • 昔ながらの圧搾器でしょうゆを搾るサークルのメンバーら=10日、毛呂山町大類の町歴史民俗資料館

 毛呂山町大類の町歴史民俗資料館で10日、しょうゆ搾り実演会があり、町に伝わる技術で醸造した自家用しょうゆの最終工程が披露された。11日は瓶詰め作業を行い、59升(約106リットル)のしょうゆが完成。「毛呂山醤油(しょうゆ)作りサークル」代表の山中和平さん(81)は「香り良く仕上がった。無事に終わり、格別のうれしさがある」と喜んだ。

 実演会は同資料館と同サークルが共催。大正末から昭和中期にかけて、町を拠点に県内外の農村へと伝えられた方法でしょうゆ造りを行った。「吉野川式自家用醤油」の醸造法は1923(大正12)年ごろ、野田醤油(現キッコーマン)で技術を学んだ町出身の吉野川周作(1887~1968年)が同町毛呂本郷に「毛呂醸造指導所」を設立し、普及を図ったもの。

 10日の作業には、サークルのメンバー11人とボランティアらが参加した。今年4月の実演会で仕込み、約7カ月にわたって発酵させたもろみを「フネ」と呼ばれる木製圧搾器に入れて生じょうゆを抽出。釜で数時間かけて煮る火入れ工程を経て完成した。

 一般の見学者も作業を体験。東松山市の岡野美智子さん(70)は「かつての作り方が伝わり、現在も実際に醸造されているのがすごいですね」と驚く。三女の美咲さん(35)は「何げなく買っている調味料だが、手間と努力を重ねてできていることが実感できた。自分も挑戦してみたい」と刺激を受けていた。

 当初、サークルは元職人の指導で造っていたが、高齢化で不在となり、2018年からはメンバーだけで続けている。山中さんは「今年はこうじ床を少し厚く敷くなど、試行錯誤してやってきた。今後も、このしょうゆ造りを守りたい」と継承を誓った。

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