故郷の空き家、どうすれば…AI活用、サイトで解体費用などの概算額を算出 日高市が企業と協定
日高市は市内に点在する空き家の解体を促すため、AI(人工知能)シミュレーター「すまいの終活ナビ―日高市版」を導入した。解体に必要な概算の費用がスマートフォンなどから算出される仕組みで、解体工事の紹介や支援を手掛ける情報通信業「クラッソーネ」(名古屋市)のシステムを活用する。
市都市計画課によると、日高市内の空き家は2018年度時点で480件。このうち管理が行き届かないケースは21年度末で315件あった。
家主が亡くなったり相続の状況があいまいになったりして放置され、草木で覆われている空き家もある。「倒壊などの保安上の危険となる恐れがある状態」として国土交通省が基本指針に示す「特定空き家」には7件が認定されている。
空き家に関する相談は近隣住民からも寄せられており、本年度は既に54件あった。同課の担当者は「このまま何も手を打たなければ、空き家はさらに増加すると判断している」と説明する。
「すまいの終活ナビ―日高市版」は、土地建物の面積や最寄り駅、接する道の幅などを入力すると、AIが解体にかかる概算の費用と解体後の土地の売却査定価格の概算を算出する。
実際に解体工事を行う場合、必要な人にはクラッソーネが、工事の一括見積もりや不動産仲介などを行う。現地調査を経て契約書を交わし、作業に入る。解体は80平方メートル前後の建物の場合、10~14日間で完了する。
16日には日高市の谷ケ崎照雄市長とクラッソーネの川口哲平代表取締役が協定書に署名した。連携協定に伴い、同社は空き家の解体などについて、サービスやノウハウを市に提供する。市は市民からの相談時にも、同社のシステムを活用するとしている。
市は「空き家に関する相談が市民からあった際、解体費用について聞かれることもあった。こうした相談にもシミュレーターによって対応できる」と話している。