ショック…夫婦と娘死亡、流血の朝 家襲った男、外に逃げた親子を執拗に追い回したか 心の整理つかぬ遺族
飯能市美杉台の住宅敷地内で、夫婦とその娘の3人の遺体が見つかった事件で、飯能署特別捜査班は25日夜、世帯主の男性に対する殺人未遂容疑で、近所に住む無職の男(40)=同市美杉台4丁目=を逮捕した。県警は26日、男性の死因が鈍器で殴られたことによる頸髄(けいずい)損傷と判明したことから容疑を殺人罪に切り替え、27日にさいたま地検に送検する方針。女性2人の殺害にも関与しているとみて捜査する。
県警は、亡くなったのは現場住宅に住む米国籍で無職の男性(69)と無職の妻(68)、会社員の長女(32)=東京都渋谷区神宮前1丁目=と明らかにした。
逮捕容疑は25日午前7時すぎ、住宅の敷地内で男性を鈍器で殴打し、殺害しようとした疑い。調べに対し「言いたくありません」と供述を拒んでいるという。
県警によると、目撃証言や付近の防犯カメラの精査などから男を特定。「ハンマーのような物を持った男が逃走している」という目撃情報が寄せられ、県警が逃げた男の行方を追っていた。事件発生から約15時間後の同日午後10時ごろ、現場から50メートルほどの場所にある男の自宅の室内で身柄を確保し、逮捕した。その際、抵抗する場面もあったが、捜査員が取り押さえた。
現場の住宅は夫妻の2人暮らし。長女が在宅していた理由については捜査中としている。
3人の遺体は同日午前7時半ごろ、「口論している」など近隣住民からの複数の通報を受けて駆け付けた警察官が男性宅敷地内で発見。いずれも頭や首などの上半身から血を流して倒れていた。遺体に鈍器で殴られた外傷があった。捜査関係者によると、県警が容疑者宅を捜索し、凶器とみられる複数の鈍器を押収したという。
男は約1年前に男性宅の敷地内に止められていた車を傷つけたとして、県警に器物損壊容疑で逮捕されていたが、送検後に不起訴処分になっていた。
男は住宅内にいた家族を襲い、さらに屋外に逃げたところを執拗(しつよう)に追い回して殺害した可能性もあるという。県警は強い殺意があったとみて動機を追及するとともに、トラブルとの関連を調べている。
■心の整理つかない 遺族のコメント
私たちは、家族が突然このような事件の被害者となってしまい、非常に大きなショックを受けており、心の整理がついていない状態です。
◇飯能市の3人殺害事件で逮捕された男は過去に別事件で逮捕されました。犯罪歴は慎重に取り扱う必要がありますが、事件の重大性を考慮し、過去の事件の背景が今回の動機につながる可能性があるため、報じました。