埼玉唯一、人口20万超の市で市営プールがない春日部…10年以上も ついに待望の温水プール誕生へ
春日部市は市内小中学校、義務教育学校、34校の児童生徒の水泳授業を民間委託し、将来的には市民も利用できる温水プールを整備する方針を打ち出した。10年以上、市営プールがない同市。学校プールの修繕費が高額なことから、水泳授業と共用で市民が使用できるプールの整備を目指す。年明け1月4日までパブリックコメントを受け付けている。
市は12月、市総合振興計画の修正にあたり、市営温水プールの整備を発表、ホームページで方針を明らかにした。市教委によると、市内小中学校のプール施設が老朽化。短期的には、水泳授業の民間委託を進める。中長期的には学校プールを廃止し、授業利用優先の温水プールを整備するとしている。
市は「老朽化に伴う大規模な修繕や改修、設備更新は原則行わない。(民間委託は)専門的な指導を受けられ、教育的効果もある」とする。
水泳授業の民間委託は、スポーツクラブなど市内5カ所に加え、近隣の越谷市、杉戸町、さいたま市岩槻区の3施設、計8施設に打診。今後各校プール施設の老朽化を見据え、民間委託を進める予定だ。
将来市営の温水プールを整備し、授業で使わない時間帯は市民に開放する計画だ。
すでに先行して義務教育学校市立江戸川小中学校と市立藤塚小の2校で民間委託を実施。アンケートでは、児童が水泳授業に好意的な回答を寄せたなど効果を認めている。
課題も多い。市立江戸川小中学校では、水泳の授業のためバスで児童生徒を送迎。片道20分、授業一時限弱を移動に充てる。越谷市のスポーツクラブに委託する藤塚小では、年間で経費約750万円がかかっているという。
一方、市内には市営のプールがない。2010年に屋外型の市営プールが休止、その後解体。人口20万を超える市で市営プールがないのは県内で同市のみ。市内に住む50代女性は「春日部に越してきて、温水プールはどこかと市に聞いたら、市外に行ってくれと言われた」。この間、議会でも温水プール整備に向けた要求が出されてきたが、具体的な回答はなかった。
今回学校利用優先とはいえ、市民にとっては待望の市営温水プールが整備される計画が示された。プールの数や場所など具体的な計画は未定。市教委は全校のプールを温水プールに切り替えた場合、「1カ所では厳しい」としている。市はパブリックコメントを反映し、本年度中に方針を固める。