埼玉新聞

 

流血の親子死亡…襲われた周辺、今も規制線 近所トラブルは大きく2種類、最悪転居も 嫌がらせがあったら

  • ブルーシートで覆われた被害者宅。一帯は今も規制線が張られ、警察車両も止まっている=16日午前、飯能市美杉台

    ブルーシートで覆われた被害者宅。一帯は今も規制線が張られ、警察車両も止まっている=16日午前、飯能市美杉台

  • ブルーシートで覆われた被害者宅。一帯は今も規制線が張られ、警察車両も止まっている=16日午前、飯能市美杉台

 飯能市美杉台4丁目の住宅で昨年12月、夫婦と長女の3人が殺害され、近所の無職の男(40)が現場宅に住む男性(69)への殺人容疑で送検された事件で、県警は16日、男性の妻(68)に対する殺人の疑いで男を再逮捕した。また県警は男宅から血の付いた手袋を押収していたことを明らかにした。男がこの手袋をはめて襲撃したとみて裏付けを進めるとともに、帰省中だった長女(32)の殺害にも関与しているとみて捜査している。

 再逮捕容疑は、昨年12月25日午前7時10~30分の間、住宅敷地内で、妻を鈍器のような物で複数回殴打し殺害した疑い。妻の頭や首などには複数の外傷があり、死因は前頸部(けいぶ)損傷による出血性ショックだった。調べに「逮捕された内容については私の知らないことです」と容疑を否認しているという。

■今も規制線 課題残る地域防犯

 事件から3週間がたった16日も、男宅が面する通りには規制線が張られ、飯能署員らが警戒に当たっていた。

 16日は美杉台4丁目自治会で事件前から月2回行われている防犯パトロールの日でもあり、見回りをしていた男性は「(事件を受けて)パトロールの回数を増やしたり、美杉台全体で防犯カメラを設置するという議論もあるが、まだ何も決まっていない」と話していた。別の自治体関係者も「男宅の近隣住民に『何かお困りのことはないですか?』と聞きたいが、(今も張られている)規制線の中には入れないので話ができない状態。どうされているのか気がかりだ」と語り、今後も市や警察と連携して地域の防犯に当たるとした。

 飯能市は事件を受けて「近隣住民などから相談があった際は、メンタルヘルスの専門家や弁護士の紹介を行うとともに、市防犯のまちづくり推進条例に基づいた施策を継続していく」としている。

 近所トラブルにはどう対応すればいいのか。グリーンリーフ法律事務所(さいたま市大宮区)の野田泰彦弁護士(41)は、嫌がらせなどを受けた際は「防犯カメラやセンサーライトの設置を推奨することが多い」と話す。

 近所トラブルは大きく分け騒音被害などの“過失的トラブル”と今回のような車を傷つけるといった“故意的トラブル”の2種類があるという。 故意的なトラブルの場合は刑事事件に発展する可能性が高い。野田弁護士は「被害を受けたら警察に被害届を出すことが必要。最悪の場合、転居の提案も一つ」と話した。

 被害者家族は過去に男に自家用車などを傷つけられる一方的な危害を受けて防犯カメラや門扉を設置。被害届も飯能署に提出していた。しかし、事件は起きた。地域の防犯を巡る課題は残ったままだ。

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